記者発表会後のインタビューでナラヤン氏は、SAP NetWeaverを拡張するドキュメントサービスを例に挙げ、同社の戦略を説明してくれた。
LiveCycle製品群が提供するドキュメントサービスは、NetWeaverのWeb Application Serverに統合され、SAPシステムのデータを基に見積依頼書のPDFファイルを生成して配布、データ入力後のフォームを回収し、SAPシステムに自動的にデータを取り込むことも可能になる。Adobe LiveCycle DesignerがNetWeaverの開発環境にもシームレスに統合されているため、フォームの作成も容易だという。
「AdobeのドキュメントサービスはWebサービスとして提供され、NetWeaverやWebSphereの機能を拡張するもの。企業の機能スタックにはさまざまなものがあるが、その水平的なレイヤの1つとして連携できる。EMC/Documentumや数社のPLM(Product Lifecycle Management)ベンダーとも協業しているし、今後も提携発表が続くだろう」とナラヤン氏。
今回発表されたAcrobat 7.0のハイエンド製品であるProfessional版には、Adobe LiveCycle Designerも同梱される。このツールを使えば、電子文書に計算式やデータ検証のためのビジネスロジックを埋め込むことができる。これまで5億本がダウンロードされている無償のAdobe Readerさえあれば、外部のパートナー企業であってもすぐにコラボレーションに参加できるわけだ。任意のXMLスキーマを取り込み、ドラッグ&ドロップでPDFフォームの入力フィールドにマッピングすることもでき、基幹システムとの統合も比較的容易だ。
このほか、やはり新バージョンのではProfessional版では、AutoCAD、Microsoft ProjectおよびVisioとの連携も強化された。AutoCADの複数のタブをまとめて1つのPDFファイルにまとめたり、VisioファイルのカスタムプロパティをPDFでも保持できる。また、Projectのガントチャートも見やすい1ページのPDFファイルにまとめることもできる。
ナラヤン氏によれば、今後こうした業種ごとのニーズを吸い上げ、順次機能強化を図っていくという。
Adobe Acrobat 7.0の価格は、Professionalが5万7540円、Standardは3万6540円。1月21日から販売開始するほか、アドビストアでは発表当日から予約を開始した。なお、PDFの生成に特化し、企業の一括導入に適したElementsはライセンス販売のみ(100ライセンスから)。こちらは来年5月から提供が始まる。
なお、Adobe Reader 7.0は12月中旬からアドビのWebサイトから無償ダウンロードできるという。
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