仏原子力委員会、デュアルコアItanium 2クラスタ導入

仏原子力委員会が導入する核兵器シミュレーション用クラスタは、デュアルコアItanium 2「Montecito」を4352個搭載し、理論上のピーク性能は60TFLOPSになる。(IDG)

» 2004年12月09日 13時53分 公開
[IDG Japan]
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 仏原子力委員会(CEA)は、2005年に新しいスーパーコンピュータクラスタを導入する際、間もなく登場するIntelのデュアルコアItanium 2プロセッサに頼ることになる。この「Tera10」クラスタはデュアルコアItanium 2(コードネーム「Montecito」)を4352個搭載し、544個のノードで構成される予定だ。

 Tera10は、標準部品を使ったオープンアーキテクチャーでオープンソースソフトを走らせるスーパーコンピュータを提供する各社の競争の結果だと、CEAの核兵器担当ディレクター、ダニエル・ベルワード氏は語る。

 仏サーバメーカーのBullが2005年半ばに第一弾のノードを納入し、これらのノードは「NovaScale 6160」サーバの8ウェイ版だと同社の広報担当アンナ−マリー・ジュールデン氏は説明している。パリの南にあるブリュイエール・ル・シャテルで行われるクラスタの構築は、CEAが場所を用意すればすぐに始められる状態にあり、最後のノードは2005年中に納入されるはずだという。

 Tera10は理論上のピーク性能は60TFLOPSで、既存の625ノードのTeraコンピュータに置き換わる予定だとベルワード氏。Teraはピーク性能5TFLOPSで、DECのEV68プロセッサを搭載している。TeraもTera10も、各ノードの相互接続に英Quadricsのネットワーキング技術を使う。

 Tera10の544個のノードのうち2個は、27Tバイトの中央メモリで走るアプリケーションを管理し、56個のノードは1000Tバイトのストレージと通信する。このストレージは米Cluster File Systemsが開発・メンテナンスしているオープンソースのファイルシステム「Lustre」を採用する。

 Tera10は旧バージョンと同様に、核爆弾の影響をシミュレートするのに使われる。こうしたシミュレーションは、核実験が禁止されて以来、フランスの核抑止力の継続的な信頼性を保証する唯一の手段となっているとベルワード氏。ほかの研究機関もTera10を自身のプロジェクトに利用できるが、セキュリティ上の理由からこのクラスタは外部のネットワークに接続していないため、コードとデータをディスクに入れて渡さなくてはならない。ほかの研究機関の用途としては、ゲノム解析や高エネルギー核物理学などが考えられる。

 ベルワード氏は、CEAはプロプライエタリな技術の利用を避け、言語標準を堅持してきたため、TeraのEV68からTera10のMontecitoへのアプリケーション移植にはほとんど問題はないと見ている。とは言え、万全を期して、1月からテストノードでコードの再コンパイルを始める予定だ。

 移行を容易にしている要因の1つに、CEAのアプリケーションが500〜600ノードのネットワークに最適化済みだという点があると同氏は説明する。以前にCrayのベクターコンピュータからTeraに移行したときは、アーキテクチャーの違いのために移行作業がもっと難しかったという。

 CEAはMontecitoをいち早く採用する顧客の1つ。同プロセッサの量産出荷は2006年初め以降に始まる予定だ(11月9日の記事参照)。Bullは2005年後半に数千個のMontecito納入を求めているが、納入時期が早いにもかかわらず、この注文には問題はないとIntelの広報担当アルノー・ランバート氏は語っている。

 Bullは競争入札で米Linux Networx、米Hewlett-Packard、米IBMに勝ち、Tera10の構築契約を獲得したとベルワード氏は話す。同氏は契約額を明かすことは控え、「当社は市価で(契約を)獲得している。他社と互いに競い合った」と語った。

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