「あらゆるメールサーバでスパム対策が必要」とBarracuda Networks

日本でも確実に増加してきたスパムメール。これを放置しておけばユーザー、管理者、双方の生産性が阻害されてしまうと警鐘を鳴らすのは、スパム対策アプライアンスを提供する米Barracuda Networksだ。

» 2005年01月11日 22時53分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「スパムメールの状況は国によって異なるが、日本は、米国の状況をちょうど1年遅れでなぞっているようだ。スパムの量は確実に増加しているうえに、日本語で書かれたスパムメールが多く見られるようになってきた」――。

 スパム対策アプライアンスを開発、提供する米Barracuda Networksのアジアパシフィック統括部長、ナイル・キング氏はこのように語り、あらゆるメールサーバでスパム対策が求められるようになると警告する。その結果として「アンチスパム市場はファイアウォールやアンチウイルスと同程度か、それ以上の規模に成長するだろう」(同氏)という。

キング氏 「米国では一昨年から昨年にかけてスパムが激増した。日本は今がその分岐点にある」と述べたキング氏

 Barracuda Networksは2002年に設立された企業で、スパム対策に特化したアプライアンス製品「Barracuda Spam Firewallシリーズ」を提供している。国内代理店の兼松を通じて、日本でも販売を行ってきた。

 製品は、専用ハードウェアとカスタマイズを加えたLinuxの上に、10種類に上るスパム検出ロジックを搭載している。

 たとえば、Spamhaus.orgのリストを用いたIPアドレスベースのブロック、一度に送られてくる数を元にブロックをかけるレートコントロール、ユーザー自ら定義できるフィルタやベイズ分析といった検出手法を活用。SpamAssassinのエンジンを用いたスコアリングも組み合わせることで、誤検出を防ぎながら高い確率でスパムを検出するという。最近とみに被害が増えているフィッシング詐欺については、メール本文中に含まれているURLを検査し、リストと付き合わせることで、悪意あるWebサイトへのアクセスを防ぐ仕組みだ。

 もちろん、スパムメールの手法も日々高度化している。そこで、スパマーの動向に対応し、最新のスパムを検出するための更新サービスとして「Barracuda Central」を提供し、スパムやウイルスの定義を1時間ごとにアップデートしているという。日本語で記されているスパムや日本国内発のスパムについても、同様にアップデートが行われる。

 一連の運用管理作業は、Webインタフェース上で行える。この画面では、スパム検出の設定だけでなく、今、自社ネットワークにどのくらいのスパムが届いているかを確認することもできるが、「ある企業では、届くメールの90%以上がスパム」(キング氏)という状態だという。

Webインタフェース Barracuda Spam Firewallのインタフェースは日本語化されている

 Barracuda Spam Firewallシリーズの最大の特徴は、ユーザーライセンスが不要な価格体系だ。ソフトウェアベースの他のスパム対策製品に比べると、導入が容易で、非常に高いコストパフォーマンスを実現している。

 これまで、1000ユーザーまでの中規模ネットワークをターゲットとした「Barracuda Spam Firewall 200」(63万円)から、サービスプロバイダー向けの「同600」(441万円)まで、4種類のラインナップを展開してきた。2004年11月には、最大3万ユーザーに対応し、1日当たり3000万通の電子メールの処理が可能なハイエンドモデル「Barracuda Spam Firewall 800」を追加している。

 さらに2月には、社内に入ってくるメールを検査する従来製品に対し、社内から外部に向けて発信されるメールをチェックする「Barracuda Spam Firewall Outbound Edition」をリリースする計画だ。自社が大量メール送信型ウイルスやスパムの発信元となり、第三者に迷惑をかける可能性を減らすだけでなく、企業ポリシーに沿ったメール送信を徹底させることで、昨今騒がれている情報漏洩の防止にもつながるという。

 「ファイアウォールの世界でも、ソフトウェア製品から性能が高く、コストの低いアプライアンス製品への移行が起こった。アンチスパムの市場でも同じ動きを起こし、『アンチスパムとくればBarracuda』と言われるようになりたい」(キング氏)。

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