MIT、欧州のデジタル技術研究所を閉鎖

研究所の閉鎖を余儀なくしたのは、資金繰りの問題だった。(IDG)

» 2005年01月18日 11時00分 公開
[IDG Japan]
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 米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、デジタル技術の革新的な研究所Media Labsの足場を米国外に築く上ではあまり運に恵まれていないようだ。

 Media Labs Europeの理事会は1月14日、新たな資金調達モデルに関して合意に至らなかったことを受けて、ダブリンに置かれた研究所を閉鎖することを発表した。

 MITが、米国外へ研究活動を拡大するための事業から身を引く決定を下したのはこれで2回目だ。同校は2年前、2001年にインドのバンガロールに設立したMedia Labs Asiaへの関与をやめた。ここでは研究の方向性をめぐって2つの陣営が対立し、その後MITはこの施設をインド政府に譲り渡した。

 今回問題となったのは、研究の方向性ではなく金だった。

 Media Labs Europeは2000年に開設され、アイルランド政府から始動のための助成金を受けた。主に企業からの補助金により、自立した研究所になる計画だったが、2000年に始まったハイテク不況で多くの企業が技術支出を削減せざるを得なくなり、企業による支援は実現しなかった。

 MITもアイルランド政府もMedia Labs Europeの運営を続けるための資金を出し渋ったため、理事会は、この研究所を閉鎖するほかに選択肢がなかったと発表文で述べている。

 この4年で、Media Labs EuropeはBT Group、Intelなどの有名企業との共同研究プロジェクトを20件以上設置した。

Media Labs Europeの理事は、ロックバンドU2のエッジ、MIT Media Labsの共同創設者ニコラス・ネグロポンテ氏が参加。理事会は発表文で、ダブリンの研究所は「画期的なポテンシャル」を持つ幾つかの高度なプロジェクトに携わっていたと述べている。同研究所は14件の特許を出願済み。

 同研究所が関与していたプロジェクトには、仮想・物理現実を融合する「閾値」デバイスや、特に触覚にフォーカスしてデジタル世界との交流体験をリッチにするマシンの開発などがある。

 アイルランド政府は、Media Labs Europeがダブリンにほかのハイテク企業を引きつけることを期待していた。

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