日本通信、セキュリティに配慮した法人向けデータ通信サービス「Secure PB」

家庭のブロードバンドでも、公衆無線LANでも、PHSでも−−社外のインターネット環境を、社内と同じような感覚、セキュリティレベルで利用できる通信ソリューションを法人向けに提供する。

» 2005年01月20日 23時35分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 日本通信は1月20日、法人向けにセキュアな通信環境を提供するソリューション「Secure PB」を、2月1日より提供すると発表した。公衆無線LANスポットや家庭のADSL回線といった社外の任意の環境から、VPN接続で安全に社内のネットワークにアクセスできるようにするサービス。価格は個別の見積もりとなる。

 Secure PBでは、イントラネット内のサーバーと、クライアントノートPCとにそれぞれ専用ソフトをインストールし、両者をVPNで接続してセキュアな通信を行う。VPN、ファイアウォール、アンチウイルスソフトなどは、既存のシステムで使っていたものと組み合わせが可能。

Secure PBのシステム図

 クライアントソフトはPCの起動と共に立ち上がる常駐型のソフト。社内LAN、公衆無線LANスポット、ADSLやFTTHなど家庭のブロードバンド環境、PHSなど、接続環境を自動的に選択、それに応じたスピードとセキュリティで接続する。例えば社外からのアクセスであればVPNのセッションを張る、PHSからのアクセスであればアクセラレータを使い、データ圧縮などで体感速度を向上させる、といった具合だ。また、接続した環境に合わせて、セキュリティポリシーも自動更新される。ポリシーは管理者側で一括管理が可能。通信データは暗号化されており、セキュアな通信ができる。

 NTTコミュニケーションズ、FREESPOT協議会、ソフトバンクBB、日本テレコムなどと提携しており、各社の提供する公衆無線LANスポットすべてにSecure PBからアクセスできる。ユーザーが個別に利用登録をしたり、それぞれ別のIDやパスワードなどを設定する必要がなく、Secure PBから同じように、各社の無線LANスポットを利用できるのは便利だ。

クライアントソフトは常駐型。Firewall、VPN、PHSなど接続環境を示すアイコンが並び、自動接続のほか、自分で接続環境を選ぶこともできる。このウィンドウはWindowsのデスクトップ左上に現れるが、不要なときは隠れて邪魔にならない

 また、メールソフトと連動して、メールに添付するデータのセキュリティを上げることも可能。データに閲覧期限を設定したり、編集・閲覧禁止などのレベルを決められるほか、受信したマシンでしかデータを閲覧できないようにする、スクリーンショットをとれないようにする、といった設定もできる。利用できるメールソフトは、Outlook 2000以降、Outlook Express 6以降、Lotus Notes。セキュリティ保護をかけられる添付データは、Microsoft Officeで作成したデータ、PDFとなる。

 Secure PBをインストールしていないPCで、セキュリティ保護をかけられたメールを受信した場合、無料のプラグインをインストールすることでメールを復号できる。

メールソフトに添付するデータの暗号化。日付を設定できるほか、「見るだけ」「編集可能だが消去は不可」「受信者のIDで、しかもメールを受信したマシンでしか見られない」などの設定も可能。なお、製品版では日本語化される

 Secure PBのPBは、“Portable Broadband”の略だという。日本通信社長の三田聖二氏は「社内でしているのと同じように、グループウェアや業務アプリケーションを使いたいというニーズが高まっている。しかしPHSや携帯のデータ通信の速度では、今はなかなか満足できないのが現状。求められているのは“モバイル”ではなくて、社内で行っている業務の環境を、そのまま外に持ち出せる“ポータビリティ”。それを実現するのが日本通信のチャレンジだ」と述べた。

日本通信社長の三田聖二氏。「通信業界では2Mbpsで『高速データ通信』だが、コンピュータ業界では10Mbpsでも満足できず、100Mbpsも当たり前。通信業界とコンピュータ業界の間にあるこのギャップを埋めたい」

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