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» 2005年02月10日 16時06分 公開

HPの戦略に疑念も――フィオリーナ氏更迭で

HPの会長兼CEO、カーリー・フィオリーナ氏が辞任したことを受け、市場ではさっそくさまざまな憶測が飛び交い始めた。

[IDG Japan]
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 カーリー・フィオリーナ氏がHewlett-Packard(HP)の会長兼CEOを務めていたとき、HPのユーザーは何度か同社の製品戦略の大きな変化を経験した。

 HPがAlphaおよびPA-RISCプロセッサを見限り、Itaniumチップを推進するという方針を打ち出したのも、そういった戦略転換の1つだ。同社はまた、「MPE」および「Tru64 UNIX」という人気の高い2つのOSの開発も中止した。

 フィオリーナ氏がHPのCEOを辞任したことで、HPの製品ロードマップがまた変更される可能性がある、とアナリストは指摘する。

 しかし状況は極めて不透明であり、アナリストもユーザーも、米国時間2月9日早朝に発表されたフィオリーナ氏の更迭がもたらす影響について推し量りかねているのが実状だ。

 今回のCEO解任がHPに与える影響については、同社の分割につながるとか、製品ロードマップが変化するだろうといった、さまざまな憶測が既に飛び交っている。HPがコモディティPCとローエンドサーバ事業を企業向けシステム/サービス事業から分離する可能性もある、と予想するアナリストもいる。

 HPのユーザーグループInterexのデニス・ボーチェミン理事は、「これからどうなるか、全く予測がつかない」と話している。

 しかしInterexの元会長でもあるボーチェミン氏は、HPがAlphaおよびPA-RISCシステムの開発中止など、多くの製品について決定したロードマップを大幅に変更するのは難しいとみている。

 「HPは既にチップの開発・設計ビジネスから手を引いた」とボーチェミン氏は話す。同氏は現在、テキサス州オースティンにあるSector7で移行コンサルタントを務める。

 「彼らはItaniumにすべてを賭けている」(同氏)

 ニューヨーク州ポート・チェスターにあるDH Brown Associatesのアナリスト、リッチ・パートリッジ氏によると、ユーザーは製品ロードマップの変更の可能性を想定しておく必要があるという。「同社がサポートすべき製品を減らすために、AlphaおよびPA-RISCからの移行に拍車をかけることも考えられる」とパートリッジ氏は話す。

 「HPはItaniumでいくほかには選択肢がないだろう」(同氏)

 同氏はAlphaとPA-RISCのユーザーに対し、ロードマップの変更に注意するよう警戒を促している。

 「HPがさらに経費を削減しようと考えた場合、同時に多数の製品をサポートしなくても済むようにItaniumへの移行を加速させる可能性がある」(同氏)

 HPの暫定CEOに就任したロバート・P・ウェイマンCFO(最高財務責任者)は2月9日朝に行われた電話会見で、同社の企業顧客戦略をめぐる疑念の払拭に努めた。HPの技術戦略に関する質問に対して、「取締役会はこれが正しい戦略であると考えている」とウェイマン氏は答えた。さらに同氏によると、HPは顧客を安心させるための「アクションプラン」も用意しているという。

 しかしHPがどのような形で顧客を安心させるのかは、だれがHPの新CEOに選ばれるかにかかっている、とアナリストは指摘する。

 マサチューセッツ州ケンブリッジにあるForrester Researchのアナリスト、フランク・ジレット氏は、HPの分割の可能性は別として、経営トップの入れ替えによって「Itaniumを柱とする事業の今後に対する不透明感が高まるだろう」と話している。

 HPはItaniumに高い賭け金を積んでいる。が、同社の市場シェアは拡大しつつあるものの、ジレット氏によると、Itaniumビジネスは低迷しているという。Advanced Micro Devicesの64ビットプロセッサOpteronも、Itaniumには逆風になった。HPではOpteronに加えて、Intelの64ビット版x86プロセッサも販売しており、これがItaniumに代わる「魅力的な代替製品となっているケースもある」と同氏は話す。

 「状況が落ち着くまで当分の間、重要な決定は差し控えた方がいい」とジレット氏はアドバイスする。

 アナリストによると、これまでTru64などの特定の製品ラインに関係する戦略変更の多くは、CEOよりも下のレベルで決定されてきた。しかもHPは、後戻りするのが難しい地点までこれらの計画を推進したという。

 1999年にCEOに就任したフィオリーナ氏は、HPのサービス事業の改善にも取り組むとともに、総合的なハードウェア/ソフトウェア製品を提供するという戦略を確立し、企業のニーズに俊敏に対応することを目指した「アダプティブ・エンタープライズ」構想を打ち出した。

 コネティカット州スタンフォードにあるMeta Groupのアナリスト、ニック・ゴール氏は、すぐに企業ユーザーに影響が及ぶことはないとみている。同氏によると、例えばAlphaシステムを購入しているユーザーもまだいるという。

 「HPが製品ロードマップをどのように変更するにせよ、製品のライフサイクルは考慮されるだろう」(ゴール氏)

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