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» 2005年02月13日 11時50分 公開

パフォーマンス管理が情報システムの次のステージに――米SASストラテジスト

「経営者は戦略を実行することの難しさに失望している」。来日したSAS Instituteのストラテジスト、ゲーリー・コーキンス氏は話す。

[怒賀新也,ITmedia]

 「経営者は戦略を実行することの難しさに失望している」。来日したSAS Instituteのストラテジスト、ゲーリー・コーキンス氏は話す。同氏は、企業におけるコスト管理と業績向上システムの分野の専門家として、国際的に知られている。

 さらに、「ほとんどの従業員は企業の戦略を理解していない」「ほとんどのマネジャーと従業員は自社の経理データを信用していない」と企業の従業員が社内の情報に不信感を持っていることを指摘する。同氏によれば、こうした状況で企業が取り組むべきことは、「パフォーマンス管理」の導入だという。

ゲーリー・コーキンス氏。ABCマネジメントの分野で知られる。

 パフォーマンス管理とは、企業が戦略に基づいてあらかじめ定めた指標を通じて、業績(パフォーマンス)を常に監視し、より早い段階で異常や問題を発見して対策を講じることができるようにするために、その管理プロセス、方法論、評価尺度、テクノロジを統合し、全社的かつ一貫した形で導入・実施するコンセプトと定義される。究極的な目的は、企業が戦略を実現するために立てた計画を、しっかりと実行し、いい結果へと結びつけること。そして、コーキンス氏は「正しい情報を早く意思決定者に伝えること」と説明する。

 調査会社のガートナーはパフォーマンス管理をCPM(コーポレート・パフォーマンス・マネジメント)と呼ぶ一方で、EPM(エンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント)など幾つかの呼び方がある。米国でも「分かりづらいので呼び方を統一してほしい」という声もあるほどで、基本的にはどれも意味はほぼ同じだ。そして、パフォーマンス管理を実現するための具体的なソフトウェアの中心となるのが、ビジネスインテリジェンス(BI)だ。

 だが、日本では、実際にBIをベースにしたパフォーマンス管理をシステムに導入している企業はまだそれほど多くない。欧米企業での成功事例の共通点について、コーキンス氏は、新しいアプリケーションに対する経営上層部の基本的な考え方について指摘する。

 「成功した欧米企業では、ツールが“そこそこいい”と判断すれば導入を前向きに検討する点で共通している」(コーキンス氏)

 また、マイナス面を必要以上に気にするために、パフォーマンス管理がうまくいかない企業も目立つという。日本企業についても、「上層部がリスクを恐れ過ぎて導入に踏み切れないのではないか。業界の上位企業が導入すれば一気にすすむかもしれない」とコメントした。また、同氏は「会計士の問題」も挙げる。会計士の多くが、パフォーマンス管理を難しくとらえてしまい、後ろ向きの態度を取ることも多いという。

 一方で、日本法人の堀昭一社長は、日本でBIの導入が比較的遅れていることは事実とするものの、「日本市場における新規の案件は対前年比50%増だった。これは世界でも最も高い数値。日本でBIの導入が定着するのも時間の問題という手ごたえを感じている」と自信をうかがわせている。

BIがERPの投資対効果を押し上げる

 コーキンス氏は、数年前まで企業の多くは自社のビジネスを管理するためのデータ自体を十分に持っていなかったと指摘。それが、ここ数年は、ERPの導入が進んだことにより、データは蓄積した状況になった。

 一般に、ERP自体の投資対効果(ROI)は多くの企業においてパッとしないと言われる。そこで、ここまでERPで蓄積してきたデータを、BIを中心としたパフォーマンス管理の仕組みを企業に導入することで、営業やマーケティング、経営者の意思決定など、社内のすべてのプレーヤーがデータの裏づけのある行動を取ることができるようになるというのがコーキンス氏の主張だ。その結果として、企業全体の売り上げアップやコスト削減、新戦略の立案などが可能になるかもしれない。

 つまり、ERPのデータを活用できる点を考えると、「BI導入により、ERPに関わるトータルのROIを高めることができる」と同氏は話している。

CFOを支援するBI新製品

 SASは2月3日に、CEOやCFO(最高財務責任者)向けにパフォーマンス管理のソリューションを提供する新製品群「Financial Intelligence」をリリースした。

 Financial Intelligenceは、KPI(重要業績指標)の管理、バランストスコアカードの方法論を盛り込んだ「Strategic Performance Management」、正確な財務データを確保するための「Activity Based Management」、連結レポートの作成や分析機能、計画策定機能を提供する「Financial Management」などのコンポーネントで構成されている。

 「意思決定に必要な情報を、正しい意思決定者に、タイムリーに伝達する」というパフォーマンス管理を、CEOやCFOが導入するための製品となっている。

BIが「ブレイク寸前」であることを示唆した堀社長(左)。

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