EMCの考える次世代ITインフラは「メタストラクチャ」

EMCジャパンは2月14日、CTOの来日に合わせ記者説明会を開催。同社の考える次世代ITインフラの考えを披露した。一貫した共通のメタデータを再構成して管理できるインフラの実現を目指すという。

» 2005年02月14日 21時07分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 EMCは、ストレージハードウェアからソフトウェアを重視した戦略へ転換している。そこには、アプリケーションよりのソリューション企業へ転換しようとする思惑がある。EMCが近年取り組むILM戦略も、ストレージというよりも「情報」を中心に置いた考え方という。来日したCTOのジェフリー・ニック氏が示す方向性にも、ストレージのEMCという面影はあまり感じられない。

 次世代ITインフラとして題してニック氏が語ったのは、共通化されたメタデータによって、アプリケーション/リソース/データに相関関係を持たせ、管理に一貫性を持たせようというもの。EMCは、獲得したLegato、DocumentumやSMARTSのテクノロジーなどと連携させながら、この考え方を取り込んでいく。

ジェフリー・ニックCTO ニック氏は、2004年9月にEMCに入社する前はIBMフェローで、IBMのeビジネス・オンデマンドの設計&アーキテクチャ担当の副社長を務めていた

 「一般的に現在のITインフラはベンダー独自の技術により、サイロのように分断されている」(ニック氏)

 これら問題を解決しようと、ITベンダーは仮想化技術に力を入れ、グリッド、ユーティリティコンピューティングの実現を目指している。また、外部のサービスコンポーネントを結びつけるものとして、Webサービスの標準化も進んでいる。だが、「リソースやアプリケーションの管理という視点で見ると、Webサービスには、まだやらなければならないことが多い」とニック氏。アプリケーションが使うリソースやデータが結びつかないのだという。

 例えば、災害対策という可用性の管理というビューで見た場合、災害時にサービスを継続するには、現在使っているリソースとの調整が必要となる。しかし、現在はメタデータのストラクチャが欠落しているため、アプリケーション、リソース、データの相関関係とりながら調整することができない。共通一貫したモデルが備われば、可用性管理や性能管理といったさまざまな管理ビューから、ポリシーに基づき、共通のメタデータを再構成できる活用できるメリットが生まれるという。

 EMCが目指しているILMでは多くのメタデータが利用される。まずはこの中からさまざまなサービスで共通して使えるメタデータのモデリングに取り組んでいきたい、と同氏は話す。「しかし当然、エコシステムの中で発展させないと意味がない。SMIS(ストレージ管理の標準化)のようにコミュニティとして進めるべきものもあるだろう」(ニック氏)。

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