「DEC Rdb事業買収の経験をPeopleSoftの統合にも生かしたい」とOracle幹部Interview(1/2 ページ)

Oracle 10g Worldのために来日したロズワット氏は、DECのRdb買収に伴い、Oracleに移籍したひとりだ。テクノロジー製品を統括するロズワット執行副社長に、Oracle 10g、Project Fusion、そしてPeopleSoftの統合について話を聞いた。

» 2005年02月25日 14時04分 公開
[浅井英二,ITmedia]

1990年代半ば、OracleはディジタルイクイップメントのRdb事業を買収、定評のあったクラスタ技術をOracleに取り入れ、今日のRAC(Real Application Clusters)やOracle 10gの礎とした。Oracle 10g Worldカンファレンスの基調講演に登場したチャック・ロズワット氏は、Rdb買収に伴い、Oracleに移籍したひとりだ。現在は、執行副社長としてOracle 10gファミリー(テクノロジー製品)を統括するロズワット氏に、Oracle 10g、Project Fusion、そしてPeopleSoft統合の成否を占う意味で自身の体験について話を聞いた。

カリスマのあるエリソンCEOとは対照的で柔和な印象が強いロズワット執行副社長

ITmedia Oracle 10gで打ち出したグリッドについて教えてください。RAC(Real Application Clusters)との違いは何でしょうか。

ロズワット グリッドコンピューティングは、最新かつ最良のコンピューティングスタイルです。かつてメインフレームを中心としたコンピューティングがあり、のちにクライアント/サーバ型が登場しました。グリッドコンピューティングは、インターネットコンピューティングを経て、さらに進化したスタイルだと確信しています。

 グリッドから顧客らが得られる恩恵はいろいろあります。コストを抑えながら、より高い水準のサービスが提供できます。高い拡張性や可用性も手に入れられます。ガートナーらの調査によれば、現在のコンピュータはそのリソースの20〜60%しか活用されていません。アプリケーションごとにデータベースサーバ、アプリケーションサーバ、そしてストレージが用意されているからです。

 適切なサイズのコンピュータを購入することはたいへん難しいものです。大きすぎたり、小さすぎたり、たいてい判断を間違えてしまいます。

 しかし、グリッドであれば、最小限のサーバとストレージからスタートし、必要に応じてキャパシティを少しずつ増やしていくことができます。

 グリッドで仮想化することによって、限られたITリソースも十分に活用できます。たいていアプリケーションの負荷はピークが異なるものです。それらをうまく組み合わせれば、さらにリソースの効率的な利用が可能となります。

 またOracle 10gは、われわれがOracle9i Release 1から提供してきたデータベース層のRAC(Real Application Clusters)に加え、アプリケーションサーバ層およびストレージ層でもクラスタ化を実現していて可用性をさらに高めることができます。使い勝手も改善されており、クラスタの設定や運用も簡素化されてきています。

 もちろん、グリッドが可能になった背景には、ハードウェアの発展があります。安価で処理性能の高いIAサーバだけでなく、安価なストレージも登場しています。ネットワークスイッチも安価で高速になっています。

アプリのマージを狙うProject Fusion

ITmedia 1月に発表された「Project Fusion」について教えてください。

ロズワット Project Fusionは、2つの要素から構成されます。1つはアプリケーション製品群のマージです。Oracle E-Business Suite、PeopleSoft、およびJD Edwardsの顧客に移行パスを提供することが狙いです。

 もちろん、各製品はメンテナンスと機能強化が継続されていきますが、長期的にはスーパーセットであるPoject Fusionにアップグレードすることで統合されていきます。

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