トラフィック制御の仕組みと種類(その2)UNIX USER2005年3月号「ネットワークトラフィックを制御せよ Part1」より転載(2/2 ページ)

» 2005年02月25日 20時35分 公開
[広瀬雄二(東北公益文科大学),UNIX USER]
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Packet Shaping

 特定のパケットを分類し、そのパケットの送出速度があらかじめ指定した値を超えないように調整する方式がPacket Shaping*である(図5)。

図5 図5 Packet Shapingの仕組み(クリックで拡大)

 単純な仕組みではあるが、FTPのような帯域消費の激しい通信が別のサービスに与える悪影響を軽減するなどの目的には適している。ただし、図5の例でいえば、どれだけ回線が空いていてもSMTPは64Kbpsに制限されるので、単体での利用は効率的といえない面もある。

CBQ

 Packet Shapingのパケット分類方法を発展させ、親子関係を持つグループに分けて制限をかけられるようにしたものがCBQ(Class Based Queueing)である。

 単純なPacket Shapingの方式を、通信回線の帯域という「資源」を主眼とした考え方で見ると、図6のようになる。制限がかけられているSMTPは、絶対に64Kbpsを超えることが許されない半面、それ以外(SSHなど)は回線が空いていれば帯域ぎりぎりまで使うことができる。ただし、SSHが帯域を消費しつくすと、そのほかのサービスに悪影響が生じる。これを解決するため、CBQでは階層関係を持ったグループを「クラス」として定義する(図7)。

図6 図6 通信回線の資源におけるPacket Shaping(クリックで拡大)
図7 図7 CBQによる帯域資源管理(クリックで拡大)

 デフォルトでは各クラスに割り当てられた帯域幅を超過できないが、CBQではそれぞれのクラスに対して「borrow」オプションを指定することで、親クラスから余っている帯域を借りることが可能となる。もちろん、ほかの子クラスが回線を使用している場合は借りられないこともある。

 このように、指定したサービスの帯域を制限しつつ、回線負荷が低い場合になるべく多くの帯域割り当てを可能にできるのがCBQの特徴だ。この方式はルーター専用機などでも広く採用されている。

このページで出てきた専門用語

Packet Shaping

「Shaping」だけでトラフィック制御そのものを意味する場合があるが、ここでは特定パケット(群)の送出速度の上限を制限する意味として「Packet Shaping」を用いることとする。


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