EJBスペックリード、デミケル氏が語るJavaFocus on People

SunでEJBの権威、スペックリードを担うJ2EEエンジニアのリンダ・デミケル氏。EJB 3.0で目標とされたEoD、メタデータ利用の背景、技術革新のスピード見解についてをインタビューした。

» 2005年03月16日 20時00分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 次期J2EE 5.0の核となるEJB 3.0(Enterprise JavaBeans 3.0)には、アノテーション(メタデータ注釈)採用で抽象化を実現し、プログラミングを容易にするというテーマがある。昨今、EoD(Ease of Development)と呼ばれているものの1つだ。

 EJB 3.0の情勢は、商用Javaベンダーはもちろんのこと、オープンソース実装で人気のJBossも積極的に取り組んでおり、Web上でもドキュメントを充実させている。

 Javaの誕生から10周年を記念するJava Computing 2005 Springに合わせ、米Sun Microsystems、J2EE Java Webサービスシニア・スタッフエンジニアのリンダ・デミケル氏が来日した。デミケル氏はEJBのスペックリードとして知られており、コンピュータ・サイエンスでPh.Dの学位を持つ。インタビューでは、EJBを取り巻く環境についてコメントが聞けた。

的確、且つ機能性重視に語るデミケル氏

 デミケル氏は、EJB革新の裏には、当初は開発者が使いやすいよう考慮されてなかったものだと語り出す。

 「これまでは用件を実装することが急務となっており、プログラミングの容易さへの追求に注力できなかった」。しかし、J2SE 5.0へのアノテーション実装を皮切りに、今後はEJB 3.0のようにEoDを意識するとともに、ビジネスロジックだけでも可能なよう、追求していく必要性があると語る。

ホームインタフェースの廃止がリモート開発を容易に

 Javaは昨今クライアント指向となっているがEJBの観点からは? の問いについて、「EJBもシンプルになっている」と言い、インタフェースのシンプルさに言及した。

 EJB 3.0では、従来のようにホームインタフェース取得の必要性が無くなり、EJBの開発者は、LocalとRemote、個々のインタフェース提供をしなくて済む。デミテル氏は、ビジネスインタフェースの簡略化によって得られる、リモートアクセス時のBeanの扱いやすさを強調した。これまではインタフェース実装に双方のやり取りを記述する必要があったため、3.0による手順の簡略化がクライアント通信の容易さにつながるとの見解だ。

メタデータの容易さが仇とはならないのか?

 メタデータ多用がかえってソースコードの可読性を損なわないのか? の問いについてデミケル氏は、「同感」と答え、避けるべきと考えている意向に触れた。例として現在人気のツール「XDoclet」を挙げ、「良いツールではあるものの、この観点からは不満がある」という。しかし「重要な点は、標準で多くの定義ができるよう予め用意しておくこと」と語る。ソースの可読性は必要に応じて利用する開発者に課せられているものといえる。

 EJB 3.0には、コンセプトこそ違うもののJSFを取り込むという動きもある。どのように関わるのか? との問いについてデミケル氏は、今後の課題であり現段階では言うことがない、まだ時間が必要と語った。

JCPの制定スピードは妥当なもの

 エンタープライズに見合う規格が多数登場し、制定機関であるJCP(Java Community Process)に寄せられる要件は増す一途だ。そこで、EJBスペックリードとして制定までの期間に技術的、感覚的な意見を聞いたところ、「スピードは要件サイズによるもの。最終的にGoを出す前のリファレンスインプリメンテーションには時間がかかるもの」と言い、決して遅さを感じることがないと語る。

 また、「2年は適当な期間だと思う。マーケティング観点からも、ベンダーはファイナルが出てから実装に移るため、最近でも一部では1.2がやっと認証されたことを聞く。J2EEのようなさまざまなテクノロジーを実装している以上、これ以上短くはできない」という。「どちらかというと早すぎると思っている」とデミケル氏

 これまでJ2EEは比較的扱いが難しいと言われてきたが、EJB 3.0ではそれを払拭するためにJCPを中心としてサンは取り組みを続けてきた。

 JSP/ServletベースのJSFに続き、2005年のJavaは、EJB 3.0(J2EE 5.0)へと注力していく。

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