GroupBoard ワークスペースが変えるオフィス業務 〜日常の手作業を置き換えて効率化を目指す

GroupBoard ワークスペースを導入すると、日常の業務はどのように変わるのだろうか。実際にグループボードを導入して、業務効率の改善に成功した企業がある。この例を通じて、グループボードの持つポテンシャルを実感してみよう。

» 2005年03月31日 19時39分 公開
[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

 前回のマイクロソフトへの取材では、GroupBoard ワークスペースの持つ機能や特長を確認することができた。そこで今回は、グループボードを実際に導入している企業を取材し、現場で利用しているユーザーの視点から、グループボードの実力を検証することにしよう。

 現在、国内でグループボードを導入している企業の中から、今回は株式会社セシモを取材した。

 セシモは、瓦(かわら)をはじめとした屋根に関わる各種材料の販売を行っている会社である。創業は昭和2年であるから、歴史と伝統のある老舗だ。

 同社専務取締役 瀬下 康人氏にお話を伺うと、瓦の話が次から次へ飛び出してくる。例えば、瓦が広く庶民に普及したのは江戸時代の徳川吉宗のころで、それは火災を防ぐためだった。あるいは、東京・恵比寿ガーデンプレイスのある場所では、昔、瓦を焼いていた……等々。

セシモ 専務取締役 瀬下 康人氏

 事業内容も、取材前に我々が抱いていた地味なイメージとはかけ離れている。大手ハウスメーカーと共同での製品開発、TVドラマのセットや有名なアミューズメントパーク施設用の瓦材の提案、瓦のリサイクル……等々。次々飛び出る話題に圧倒されながらも、この会社なら瓦という伝統とITが結びつくのも不思議ではないと感じたのである。

セシモ外観。瓦屋根があしらわれたモダンな社屋

導入したその日から不可欠なツールに

 セシモの社員数は40人。そのうち、日常的にPCを利用しているのは約半数ほど。もちろん、社員は従来からWordやExcelを利用していたとのことだが、いわゆるグループウェアは導入していなかった。ただし、Windowsサーバを導入し、ファイル共有は以前から行っていたとのこと。まずは、グループボード導入にいたった経緯を聞いた。

セシモ じつは、グループボード導入前に、ファイルサーバとFAXのペーパーレス化を目的にWindows Server 2003を導入していました。そのときは、グループボードについてはまったく知らなかったのです。それが、たまたま当社が主催したイベントでマイクロソフトさんのプレゼンテーションを見る機会があり、「これは便利そうだ!」と飛びついたのが本当のところです。価格も魅力的でした。万が一失敗しても、価格が安ければリスクも低いですしね。それがいまでは、毎日の業務に不可欠なツールになりました。

ITmedia グループボードを導入してからどれくらい経つのですか? また、導入時には社員のトレーニングなどは実施したのでしょうか?

セシモ 導入したのは、今からちょうど1年くらい前ですね。トレーニングというほどのことは行っていません。マニュアルを全員で回覧した程度です。行き先掲示板や電話メモなど、特にマニュアルがなくても操作に迷うことはありませんでした。導入したその日から、便利に使い始めることができましたよ。

 セシモの場合、グループボード導入にあたって、特に他社製品との比較等は行わなかったようだ。そもそもグループボード自体の価格が安かったので、検討する必要性も感じなかったということらしい。確かに、Windows Server 2003が導入された環境であれば、機能面でも価格面でもグループボードに勝るグループウェアはないと言ってよいだろう。

 また、導入の容易さ、ほぼマニュアルレスの操作性も特筆すべきだろう。セシモでは、社内のネットワーク構築をリコーに委託しており、実際、セシモ社内にはネットワークに精通したエンジニアはいない。データのバックアップ、ユーザー登録程度は社員で行うということだが、ネットワークの専門家は常駐していない。

 それでも、グループボードは何の問題もなく稼働し、社員がほぼマニュアルレスでグループボードを当たり前に利用している風景は、前回、マイクロソフトの西岡氏が開発時のポイントとして強調した「クリック数を最小限に抑えること」「直感的な操作性」といった特長が、実を結んだ結果と言えそうだ。

セシモのオフィス。PCの画面には、つねにグループボードが表示され、スケジュールや作業間進捗状況が把握できる状態になっている
サーバ環境。Windows Server 2003が入ったサーバが2台、無停電電源装置などがラック内に収まっている。ネットワーク環境の構築は群馬リコー株式会社に委託したという

日々の業務を支えるグループボード

 では、実際の業務では、グループボードのどんな機能が利用されているのだろうか。具体的な使い方も交えて聞いた。

ITmedia グループボードでよく利用する機能を教えてください。

セシモ 瓦を運搬する空パレットの返却、請求書の作成、工事事務のマニュアル作成など、ほとんどの業務の進捗状況は「ToDo」で管理しています。「回覧板」もよく利用していますね。社員が回覧板を読んだかどうかを確認できるので、情報の見落としも確実に減りました。行き先掲示板には、現在は15〜16名ほどを登録して利用しています。

 電話メモもなくてはならない機能です。それまでは、付箋などの紙に書いて机に貼っていましたから、いちいち席を立たなければいけませんし、紙がはがれてしまい伝言が伝わらないというトラブルもありました。電話メモなら席を立つ必要はありませんし、情報が残るので確実に相手に伝わります。伝言があったことを携帯電話にメールで通知できる機能も、外回りの社員にとっては不可欠です。

 逆に、あまり使ってない機能は設備予約でしょうか。といっても、当社のような規模ですと、予約すべき施設がそれほどないという事情もあるのですが。

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浅田氏のグループボードのホームページ。社員のスケジュールが一覧表示され、今回の取材もしっかりスケジュール管理されていることが分かる


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回覧板。社員で共有すべき重要な情報が回覧されている。右側には回覧を確認した社員が表示されている


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ToDo。処理すべき業務がズラリと並ぶToDoの画面。右側には進捗状況がパーセントで表示されている


 グループボードは、いわゆるグループウェアとしての基本機能はすべて備えている。今回の取材を通じ、これらの機能がセシモの日々の業務を支えているのが手に取るように分かった。もちろん、設備予約のように、各機能の利用頻度は、会社の規模、業務内容、オフィス事情などによって異なるが、それもまた、さまざまな業種・業態に対応できるグループボードの多機能ぶりを示す結果と言えるだろう。

 ここでは、セシモで活用されている機能も含め、グループボードの主な機能をまとめておこう。

機能 概要
スケジュール・設備予約 グループ共同の予定やメンバーそれぞれのスケジュールを作成/編集できる。会議に必要な会議室や備品などの設備の予約もできる。会議室や備品は管理ページで登録する。
行き先掲示板 社員の出欠、外出先などの情報を表示する。「電話メモ」、「スケジュール・設備予約」とも連携する。行き先掲示板に表示する社員は管理ページで登録する。
電話メモ 他の社員が不在時に受けた電話内容を伝言として記録し、伝える機能。作成した電話メモは、宛先ユーザーの「新着情報と今日のToDo」に表示される。
回覧板 必ず読んでほしい情報を通知する機能。ユーザーごとに読んだかどうかを確認することができる。
連絡先 お得意先、取引先、関連部署など、社員間で共有すべき連絡先情報を管理・表示する。
お知らせ チーム内の連絡事項を表示する。
イベント チーム全体に関連するイベント・予定を管理する機能。
ToDo 個人およびチーム内で共有する作業項目を管理する。締め切りを確認できるように自分の作業を書きとめておくことも、他の社員に作業を依頼することもできる。
共有ドキュメント 共有したいドキュメントや画像、または発注書や見積書などの社内で共有したいフォームなどを管理する。
ディスカッション 特定のトピックについて、チーム内での意見交換を実現する機能。ニュースグループ形式で記事を投稿すると、スレッド形式で表示される。
アンケート チームでの意見を集計してとりまとめる機能。アンケートを素早く作成し、結果を集計することができる。Excel 2003にエクスポートして分析することも可能。

 導入からわずか1年程度だが、セシモではグループボードが業務にほぼ完全にとけ込んでいる印象を受けた。では、グループボードの特長である「Webパーツによるカスタマイズ」や「Office連携」はどうだろう? あるいは今後の活用についてはどうだろうか? 次回、これらのトピックについて、さらに詳細にレポートする。

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