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» 2005年04月03日 01時45分 公開

ユーティリティ・モデル 第2部:ベンダー動向――サービス・オンデマンドからユーティリティ・モデルへ

サンは2004年11月から、コンピュータ・リソースを使用量に応じて課金する「ユーティリティ・コンピューティング・サービス」の本格展開を開始した。この取り組みは、米国サンが2002年9月にそのロードマップを発表した次世代データセンター構想「N1(エヌワン)」に始まる。

[Open Enterprise Magazine]
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ユーティリティ・モデルへ移行

 米国サンは、2002年9月に次世代データセンター構想「N1」(2004年2月にN1 Gridに変更)を発表し、ユーティリティ・コンピューティング市場に参入して以降、その実現に必要とされる技術を自社開発または企業買収によって拡充してきた。2003年9月には、ソフトウェアを「Sun Java System」として6種に統合するとともに、ライセンス体系を刷新し、従業員一人あたりの固定年額制(サブスクリプション方式)を導入した。

 また、2004年6月の製品発表会「Network Computing '04」の第2四半期(NC04Q2)において、30以上の新しい製品・技術とともに、サブスクリプション方式の料金体系やユーティリティ型のデリバリ方式を発表した。

 2004年6月のNC04Q2では、100 種以上のサービスを1つのポートフォリオにまとめ、データセンターの体系的なコスト削減とサービス・レベルの向上を図る「Sun Preventive Services」のサブスクリプション方式による提供と、使用量に応じて料金を支払うストレージ・ソリューション「Sun Utility Computing for StorEdge Systems」が発表された。このソリューションにより、大規模データセンター向けストレージ・アレイ「Sun StorEdge 9980」を、SunStorEdge Power Unitを単位として、1MBあたり年額0.02ドルから利用できるようになった。Sun StorEdgePowerUnitには、ハードウェアとソフトウェアのインフラに加えて、関連サービス(各種インストレーション・サービス、SunSpectrum Platinum サポート、V240 サーバによるSun StorEdge管理ポータル、主要ソフトウェア・ライセンスなど)も含まれている。

 さらに、サンのユーティリティ・コンピューティングに対する取り組みは、2004年後半に入って加速する。2004年9月には業界で初めて、グリッド・コンピューティングを従量課金方式で提供することを発表し、1時間あたり1CPUにつき1ドルで、セキュアなグリッドのコンピューティング・パワーを利用できるようにする計画を明らかにした。翌10月には、演算集約処理向けのハイエンド・グリッド・コンピューティングを、ユーティリティ・モデルで提供することを発表した。このソリューションは、アトス・オリジンやCGI、EDSといったサンのパートナーから提供される。さらに11月には、カナダの大手通信事業者テラスとの間で、従量課金方式のグリッド・コンピューティングの再販では初となる戦略提携を発表している。これによりテラスは、ユーティリティ・モデルによるグリッド・コンピューティングの提供(9月発表)を行なう計画だ。

新しい概念の利用形態

 米国サンのユーティリティ・コンピューティング・マーケティング担当ディレクター、アシフ・ダナニ氏によると、サンが提唱しているユーティリティ・コンピューティングとは「ITリソースを、従量課金方式でビジネスの需要とインテリジェントにマッチングさせていくこと」であり、インテリジェントなマッチングとは、テクノロジーやビジネス・プロセス、アプリケーション、サービスをユーザーごとの個別ニーズに合せることを意味している。

 従量課金制は、ITコストと現実世界の価値をリアルタイムに連携させる仕組みで、ビジネスの状況に応じて使用した分のコンピューティング・リソース料金を支払えばよいため、より効率的でオンデマンドのIT運用が実現する。

 ダナニ氏は、サンのユーティリティ・コンピューティングのモデルには、競合他社にはないアドバンテージがあると強調している。「他社は人が問題を解決するものだと考えているようだが、サンはテクノロジーこそが問題を解決すると考えている」。

 ユーティリティ・コンピューティングは、従来にはない新しい概念のシステム利用形態である。このためサンは、実際にユーティリティ・コンピューティング環境を提供する前に、サービス・レベルを低下させることなくコスト削減できるか、スタンドアロンのシステムでどのようにリソースをプールするか、IT部門のスタッフの能力を開発・維持できるか、運用に影響を与えることなくシステムを効率的に利用できるか、ユーティリティ・モデルが組織に与える影響、などについて、顧客やパートナー、現場の営業担当者、アナリストなどと数カ月にわたって検討したという。

 あらゆるITリソースをすべてのユーザー向けにユーティリティ・モデルで提供するというアプローチでは、逆に高価になる場合もある。2004年9月にユーティリティ・データ・センター(UDC)パッケージの開発を断念したヒューレット・パッカード(HP)の場合、ユーティリティ環境を実現するために必要となるUDCシステムの実装コストが高額になり、導入するユーザーがほとんどいなかった。これは、あらゆるITリソースをすべてのユーザー向けに、オール・イン・ワンで提供しようとしたことが、裏目に出たといえる。サンのダナニ氏は、ユーティリティ・コンピューティングを提供するにあたっては、顧客が最も関心を持っている問題に焦点を絞るべきだという。「ユーティリティ・コンピューティングは新しい概念であるため、ユーザーもその導入には慎重になっている。このため、まず小規模なシステムに導入し、有用であることを理解してもらうところから始めた」。

以降、記事の続きはPDFで読むことができます。


本特集は、ソキウス・ジャパン発刊の月刊誌「Open Enterprise Magazine」の掲載特集を一部抜粋で掲載したものです。次の画像リンク先のPDFで記事の続きを読むことができます。同特集は、2005年1月号に掲載されたものです。

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