その基幹システムは被災時でもダウンしないか?(1/2 ページ)

広域的な災害が多発する現在。ビジネスの中核に位置する基幹システムには、情報対価に見合うバックアップ体制が望まれている。日立は、HiRDB Version7.2で「600km間のサイトでデータ損失ゼロ、かつ88%以上のオンライン性能」を掲げている。

» 2005年04月12日 05時01分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 Webサービスを始めとするビジネスアプリケーションの多くには、データベース利用が欠かせない。Javaを始め、多くの基幹ITシステムでは、サービスの多様化対応のためにデータベースへ多用なアクセスを行い、サービスの付加価値を高めている。これらのサービスを支えるのがサーバサイドで運用する基幹システムだ。

ディザスタリカバリの必要性

 複雑化するITシステムの運用において、そのサポートを行うために、運用の自律化やユーティリティコンピューティングなどの技術革新がめざましい。また、セキュリティやバックアップ対策は、システムの安定稼働を保証するものとして欠かせない。

 そして、昨今注目されているものの1つとして、災害時でも稼働保証を行うための施策が挙げられる。例えば万が一、読者が利用しているデータセンターの一角が被災してしまった場合、そこで稼働するサービスの連続運用が保証されているだろうか? 情報の対価に見合う運用体制が、いま問いただされているのだ。

 これらの災害に対する取り組みは、特に「ディザスタリカバリ」と呼ばれ、ディザスタと表現されることからも、究極的にはデータセンターの一角が全機能停止した場合を想定するものだ。ここでいう「災害」は、地震や台風といった自然災害から、テロや火災といった人為的災害も想定している。

 米国ではさまざまな脅威の中、特にディザスタリカバリがクローズアップされてきた。ビジネスを支えるサービスを提供する基幹システムでは、データセンター内にバックアップを持ってしても、万が一の被災時には無効力となる可能性が高い。このため、離れた地域へネットワークを通してリアルタイムにバックアップ(コピー)を行う、という施策がディザスタリカバリで採られている基盤コンセプトだ。特にSAN(Storage Area Network)でのバックアップに注目が集まっている。

文部科学省プロジェクトの成果がHiRDB Version7.2に活きている

 米国先行と思われているこの分野だが、国内でも未着手というわけではない。特に地震大国である日本では、災害に遭遇する危険度が高いためである。従って文部科学省が推進するプロジェクト「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」(関連リンク)では、「ストレージ・データベース融合技術」(東大、日立製作所)のテーマの1つとして、ディザスタリカバリに関する技術開発が行われ、この成果が日立の「HiRDB Version7.2」に反映されているのだ。

データベース層で実現するディザスタリカバリとは?

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