その基幹システムは被災時でもダウンしないか?(2/2 ページ)

» 2005年04月12日 05時01分 公開
[木田佳克,ITmedia]
前のページへ 1|2       

データベース層で実現するディザスタリカバリとは?

 HiRDB Version7.2の遠隔ディザスタリカバリ機能「リアルタイムSANレプリケーション」は、独自のハイブリッドデータ転送方式と呼ぶ新たな手法で優位性を誇っている。同社のストレージサブシステムSANRISEシリーズの筐体間コピー機能である「Hitachi True Copy」との組み合わせで実現している点が最大の特長だ(詳細後述)。

 一般的に、インターネットという非同期通信前提のネットワークでデータの信頼性を高める場合、伝送結果を受信してから次へと処理を移す同期転送を適用している。しかし、同期転送ではネットワーク状態によってレスポンス差が生じるという特性があり、特にミリ秒単位で業務をこなしている基幹システムではネットワークの遅延自体がオンライン性能に大きく影響する。

 このため、データ保証をしながら比較的長距離なリモートサイトにディザスタリカバリシステムを構築するには、技術的に難しい面がある、とされてきた。特に、同期転送で大きな課題となっていたのは、遠距離になるとネットワークの遅延が大きくなり、メインサーバのスループットが低下することからオンライン性能が活かせなくなってしまうという点だ。

図■HiRDB Version7.2とSANRISE連携で、東京と大阪を想定した600km間でのデータ損失ゼロと88%以上のオンライン性能の確保を掲げる

 日立がこれに対する回答として示したのが、HiRDB Version7.2が実現する「更新ログは同期転送」、「実データ(データベース)は非同期転送」という前述のハイブリッドデータ転送方式だ。

 メインサイトからリモート(バックアップ)サイトへの伝送をデータ種別に応じて同期、非同期に使い分ける。つまり更新ログを同期転送で保証し、データベース実データは非同期転送する。これらの使い分けはSANRISEのストレージ(ハードウェア)層で実現するのだ。

 日立は、このハイブリッドデータ転送方式による検証結果を公表している(下図、下表)。検証モデルで、東京と大阪間を前提とした比較的長距離の600kmでのデータ損失ゼロと、88%以上のオンライン性能が確保されていることが記されている。

図■性能検証環境のシステム構成
表■上記検証時のハードウェア構成
表■上記検証時のソフトウェア構成

 日立がHiRDB Version7.2とSANRISEの連携で実現できるディザスタリカバリシステムの優位性として挙げている要件は、次の通りだ。

  • メインサイトからバックアップサイトへのデータ反映方法がシンプルなこと。
  • バックアップサイトへの業務引き継ぎ過程でデータ損失がないこと。
  • ディザスタリカバリ構成のためにメインサイトの業務性能に影響が出ないこと。
  • バックアップサイトへの業務引継時間ができるだけ短くて済むこと。
  • ディザスタリカバリシステム構成に掛かるコストが安価なこと。

 この中でも、「メインとなる業務に影響が出ないこと」という要件は基幹サービス維持の根底だ。ほかでもなく、前述のストレージ自体がコピーを行うHitachi True Copyとハイブリッドデータ転送方式がデータを保証し、メインサイトのオンライン性能維持が実現可能となる。

 以上のように、1つのテクノロジーだけでカバーする方式と違い、ソフトウェアとハードウェア両面で実現することからも、まさに「ハイブリッド」方式に相応しい基幹システム構成が分かるはずだ。これらの優位性は、ストレージとデータベース双方を自社製品で提供できる日立ならではの強みが、十分に発揮された結果と言えそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ