オープンシステムの相互運用によって複雑化するITシステム。サービス品質を保つために高可用性維持は必至。そのためには何が必要なのか? 日立の回答は、JP1による自律化実現だ。
Webアプリケーションのライフサイクルを考えてみよう。
アプリケーションの開発後には、稼働環境の構築、そして適切な運用を行ってこそ安定したサービス提供が保証される。この中でいちばん長期に渡るのは、運用だろう。運用シーンでは、開発者が直に障害対策でデバッグを行ったり、専任の担当者が監視を行ってこそ、システムを安定維持することが可能だ。
しかし、オープンスタンダードを掲げるシステムを組み合わせることが多い昨今、ITシステムは複雑さを増す傾向にある。アプリケーション開発後のデバッグも済み、実稼働運用へと移るとどうしても人の手が及ばない部分ができてしまいがちだ。安定運用が継続している場合は良いが、万が一の障害時に影響する可能性が否めない。統合システム運用管理や自律化が注目されるのは、このような背景からだ。
国内の運用管理ソフトウェアで高いシェアを誇る日立製作所の「JP1」。3月3日には既報のように強化ポイントを掲げたV7.5がリリースされた。2003年7月に発表されたJP1 Version 7iを強化し、市場の変化に即応するために自律的な運用管理製品としてリリースされたのが、JP1 V7.5だ。
JP1は「統合システム運用管理」と称される日立製作所のソフトウェアである。同社はサービスプラットフォームコンセプトのHarmonious Computingを掲げており、このコンセプトを実現する統合運用管理基盤こそがJP1といえる。
V7.5のポイントは、ポリシー定義に基づく自律性の実現、運用サイクルの構築、監視、変更点を業務視点で確認できるように画面整備された点などだ。ほかにも英国で作られた運用管理のベストプラクティスとして注目されているITIL(IT Infrastructure Library)の管理プロセスを支援する。
また、次に挙げる事項を解決、強化することも課題となっている。自律化実現により、より、ビジネスの変化にすばやく対応できる情報システムができるのである。
アプリケーションサーバやデータベースを常に自動監視し、障害時にはあらかじめ設定したポリシーで対処することが可能だ。
従来であれば、人の目や手でジョブを監視し、個人のノウハウによって適切に対処する必要があった。しかし、運用項目が多岐に渡るシステムでは限界があるのも事実。操作ミスを回避することで管理業務の手間を軽減、コアビジネスに注力することができるとの狙いだ。
また、アプリケーションのライフサイクルを考慮した場合、1日の業務推移に限らず、業務拡大といった経営に関わる観点からは今後サーバをどのように増強すべきかなど、プロセス改善も考慮しなければならない。より長期的なシステム解析が課せられているのだ。
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