GroupBoardが変えるオフィス業務 〜スピード化するビジネスに対応するために

瓦などの屋根材を企画、販売している株式会社セシモは、GroupBoard ワークスペースの導入によって業務効率の改善に成功した。ここではさらなる活用に向けて、グループボードの機能を通じて同社における課題を探ってみる。

» 2005年04月18日 16時45分 公開
[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

 前回レポートしたように、セシモでは「行き先掲示板」や「電話メモ」など、GroupBoard ワークスペースの基本的な機能が毎日の業務で十分に活用されている。では、グループボードの特長である「Webパーツ」や「柔軟なカスタマイズ」はどうだろう。「Office連携機能」は利用されているだろうか。あるいは、今後の課題は何だろう? これらの点について、同社専務取締役 瀬下 康人氏に聞いた。

Webパーツは簡単かつ実用的

 グループボードの大きな特徴に、柔軟なカスタマイズ性を持つことが挙げられる。Webパーツを追加すれば、まったく新しい機能を追加することも可能だ。このカスタマイズ性についての評価はどうだろうか?

ITmedia 社員の皆さんはグループボードをカスタマイズして利用されていますか?

セシモ 画面のカスタマイズに関しては、人それぞれですね。バリバリにカスタマイズしている人もいますし、ほぼデフォルトという人もいます。機能が多いので、不要な情報が表示されないようにカスタマイズしている社員も多いようです。

ITmedia Webパーツに関してはいかがでしょう。どういった利用をしていますか?

セシモ Webパーツは、追加や削除、移動がたいへん簡単ですし、便利だと思います。マイクロソフトさんのサイトにWebパーツを無償でダウンロードできるページがあるのですが、当社ではその中の「ページ自動更新」をほぼ全員が利用しています。これは、グループボードのトップページを指定した時間間隔で自動的に更新してくれるWebパーツなのですが、常に最新の情報が表示されるので必須の機能です。その他にも、「日めくりカレンダー」や「デジタル時計」を利用している社員もいます。

 実際にオフィスに並ぶパソコンの画面を見ると、グループボードの画面がそれぞれ微妙に異なっているのが分かる。毎日利用するツールだけに、この微妙な違いが重要なのだと実感できた。

社員Aさんの画面(上)と社員(B)さんの画面。それぞれ、使いやすくカスタマイズして利用しているのが分かる
Webパーツの無償ダウンロードページ。セシモでは「ページ自動更新」が全員によって利用されている

Office連携はもっと活用したい

 Office 2003との連携はどうだろう。セシモでは、グループボード以前にファイルサーバが導入されていたが、ファイルサーバからの移行は進んだのだろうか?

ITmedia Officeとの連携機能はいかがでしょう。活用されていますか?

セシモ 関心は持っているのですが、まだ活用していると言えるレベルではないですね。以前のファイルサーバも使っていますし。

ITmedia それには何か理由があるのでしょうか?

セシモ やはり、従来から使っていたファイルサーバのやり方に慣れているのが理由の1つです。また、クライアントの一部で、依然としてOffice XPやOffice 2000が稼働しているのも理由でしょうか。じつは、OSの一部にもWindows 2000/Meが残っています。このため、社員全員がOfficeとの連携機能を使える環境にはないのです。

ITmedia なるほど。環境がまだ整っていないというわけですね。

セシモ ええ。ただし、Officeと連携すると便利なのは分かっていますから、徐々に活用していきたいと考えています。特に、お役立ちツールとしてダウンロードできる「お取引先情報リスト」には興味があります。Outlookの連絡先やアドレス帳で管理している取引先データをグループボードにインポートできますので、それまで個人に任せていた取引先データを社員で共有し、有効利用できるようになると考えています。

 本特集の第二回でも触れたが、グループボードはOffice 2003との連携を前提に設計されている。したがって、クライアントがOffice 2000あるいはXPだと、その機能を100%引き出すことは難しい(作業ウィンドウからのドキュメントワークスペースの利用など、一部の機能が利用できない)。

 Office 2003で統一された環境にグループボードを導入する。あるいはグループボードの導入に合わせてOfficeも2003世代に一気にリプレースできればベストだが、現実にはコスト等の理由により難しい面もある。

 ただし、逆に言うと、今後Office 2003へのリプレイスが進めば、グループボードはさらに真価を発揮するということでもある。そのあたりは、瀬下氏も強く意識しているようだ。

共有ドキュメントの画面。現在は、社員全員が活用しているわけではないが、Office 2003世代へのリプレイスが進めば、さらに利用価値が高まるだろう

グループボードが「スピード」を与えてくれる

 途中で瓦の話で盛り上がるなど、取材は終始なごやかな雰囲気で進んだが、途中で何気なく「グループボードを入れてよかったですね」と水を向けると、「うーん……あまりそういう感じはないですねぇ」と意外な反応が返ってきた。何かグループボードの機能に不満があるのかと思ったが、よくよく聞いてみると、そういうことではないらしい。

専務取締役の瀬下氏。「我々のように小さい企業が生き残っていくには、『スピード』が必要なんです」

セシモ 確かにグループボードを導入して便利になったのは確かです。電話メモも素早く確認できますし、スケジュールの確認や調整も簡単です。グループボードによって仕事の効率は確実にアップしました。しかし、だからといって「よかった」という感想はあまりありません。むしろ、これが当たり前なのだと思います。

ITmedia なるほど。グループボードはあくまで道具だということですね。道具を利用することが目的なのではなく、道具を利用して得られる結果が大切なのだと……。

セシモ そうですね。我々のように小さい企業が生き残っていくには、「スピード」が大切です。情報伝達のスピード、判断や決断のスピード等々ですね。グループボードは、そのスピードを我々に与えてくれます。今後、このスピードは、速くなることはあっても、遅くなることはあり得ないと思います。

ITmedia 最後に情報共有をしたいと考えている企業に対し、何かアドバイスがありましたら、お願いできますか。

セシモ 今後は、こういったグループボードのような製品で情報を共有していくのが当たり前になると思います。逆に、そうしない企業は取り残されるだけではないでしょうか。我々の業界には、職人気質の人が多いせいか、IT化にはアレルギーを示す人も多いんです。しかし、会社として生き残っていくには、そういう職人さん達にもできるだけ抵抗なく使ってもらえる製品が必要なのだと思います。グループボードは、その点でもおすすめできます。

日々の業務にグループボードを活用しているセシモの社員の皆さん

 今回の取材を通じて、グループボードが中小規模の企業にとって、非常に有望なグループウェア製品であることが実感できた。グループウェアとしての基本性能はもちろん、導入の容易さ、トレーニングコストの低さも重要なポイントだ。加えて、Webパーツによるカスタマイズ性、Office連携なども高い評価を得ていた。

 なお、補足になるが、より規模の大きい企業でも「部や課で情報共有したい」という要望にグループボードは十分対応できる。Windows Server 2003、あるいはWindows Small Business Server 2003 が導入されているなら、グループボードは間違いなく最も手軽で強力なグループウェアである。ただし、「大企業で全社的な情報共有サイトを持ちたい」また「アプリケーションとも統合させたい」という場合は、SharePoint Portal Server 2003があることは指摘しておきたい。

 とはいえ、日本企業の大半を占める中小企業は、グループボードだけに注目してよいだろう。グループボードが、閉塞感のあるグループウェア市場に一石を投じる製品であること、つまり"次にくるグループウェア"であることが、今回の取材を通じて得た結論だからである。

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