企業でもスパイウェア対策は必須――トレンドマイクロがウイルス対策ソフトを強化

トレンドマイクロは、スパイウェア対策機能を強化した企業向けウイルス対策ソフト、「ウイルスバスター コーポレートエディション 7.0」を発表した。

» 2005年04月11日 21時03分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 トレンドマイクロは4月11日、企業向けウイルス対策ソフトの最新バージョン、「ウイルスバスター コーポレートエディション 7.0」を発表した。

 新バージョンの最大の特徴は、スパイウェア対策機能を強化したこと。これまでは、スケジュールに従っての検出しかサポートしていなかったが、7.0ではファイルの書き込み/読み込みを監視してリアルタイムにスパイウェアを検出できる。また、オプションとして提供される「ダメージクリーンナップサービス」を追加購入すれば、見つけ出したスパイウェアの削除、隔離が可能となる。

 トレンドマイクロが2005年3月に、企業の従業員525名を対象に行った調査によると、スパイウェアを脅威と感じているのは82.1%に上るが、対策が完了している企業は17%にとどまる。トレンドマイクロのマーケティング統括本部プロダクトマーケティンググループ、マーケティングマネージャの小林伸二氏は、「ウイルス以外の脅威、中でもスパイウェア対策への関心が高まっている」と指摘する。

小林氏 情報漏えいやフィッシング詐欺に悪用される例を挙げ、「スパイウェアにはお金のにおいがする」と危険性を指摘した小林氏

 「ベテランのユーザーでさえスパイウェアに感染している。しかも、いつ、どこで感染したのかが分からないケースが多い」(小林氏)。これが企業ネットワーク内に持ち込まれた場合、「作業効率が低下し生産性が損なわれるだけでなく、情報漏えいのリスクも高まる」と述べ、ユーザー個々での対策だけでなく、企業としての対策も必要だとした。

 ウイルスバスター コーポレートエディションでは、スパイウェアの検出は、ウイルスとは別の専用定義ファイルに基づいて行う。「スパイウェアの場合は、ウイルスよりも更新頻度が高い」(小林氏)といい、1日1回以上のペースで定義ファイルが更新されるという。

 定義ファイルの更新状況やスパイウェアの検出状況は、ウイルスバスターの管理画面から一元管理できる。スパイウェア検出対象から除外したいソフトを指定し、例外扱いすることも可能だ。

ウイルスバスターの管理画面 ウイルスバスター コーポレートエディションの管理画面。サーバ側でスパイウェア検出状況を把握できる

 小林氏はまた、Webアクセス制御製品「InterScan Web Security Suite」の機能を強化し、ゲートウェイ部分でスパイウェアの侵入をブロックする機能を追加する方針も明らかにした。スパイウェアに感染した端末から、悪意あるサイトへの情報送信をブロックする機能も備えるといい、年内に投入される見込みだ。「ウイルス同様、スパイウェアについても多層的な防御が必要だ」(小林氏)。

管理性も向上

 ウイルスバスター コーポレートエディション 7.0ではほかに、64ビット対応が図られる。また管理性の強化という意味では、クライアントの接続状態をログとして出力し、あとから確認できるほか、同一のウイルスによるログを集約してログファイルのあふれを防ぐ「ウイルスログスロットル」といった機能がサポートされている。

 さらにこのバージョンから、エンドユーザー端末を保護する「クライアント版」に加え、サーバシステムを対象にする「サーバ版」がリリースされた。サーバ版は、これまで「Server Protect for Windows NT/NetWare」が提供してきた機能をほぼ踏襲するものだ。

 これにともないトレンドマイクロでは、Server Protect for Windows NT/NetWareの販売を年内に終了させ、ウイルスバスター サーバ版への移行を推奨していくという。ただし、Server Protect for Linux/Network Apliance filers/EMC Celerraの販売は継続するという。

 ウイルスバスター コーポレートエディションの価格は5ライセンスで3万6000円、サーバ版は20ライセンスで6万9000円。スパイウェア駆除に不可欠なダメージクリーンナップサービスは、5ライセンスで1万6000円となる。また、パーソナルファイアウォール機能を搭載した「アドバンス」も用意されており、価格は標準版は5ライセンスで4万9000円、サーバ版は20ライセンスで9万4000円。いずれも5月18日より販売を開始する。

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