アナリストの言うことは信用できるか?(2/2 ページ)

» 2005年04月12日 23時44分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK
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 しかし、こういった調査会社を古き良きエバンジェリズムと混同すべきではない。エバンジェリズムというのは、自分の信念や経済的/職業的利害に基づいて人々が推進する運動である。決まり文句で言えば、これらの人々は「Kool-Aidを飲んだ」のであり(訳注:熱烈な信奉者になること。Kool-Aidは清涼飲料水の商標)、彼らの言葉は疑ってかかる必要がある。

 例えば、自分の命運をLinuxに託している人々は、Linuxの熱烈な支持者、場合によっては伝道者になると予想される。もしあなたが彼らの考え方を支持するのであれば、これらの人々は素晴らしい情報源となり得る。しかし全般的な物事に対する彼らの見方を受け入れるのは問題だ。彼らの視野はゆがんでいて、しかも狭いからだ。要するに、自分の殻に閉じこもり、現実を見ていない人が多いということだ。

 細かい文字の部分も読むこと: 調査結果を見る場合は、報告書に書かれた結論を受け入れる前に、調査対象はだれなのか、そして質問はどういう内容なのかを把握する必要がある。

 アンケート調査はさまざまな要因によってゆがめられる可能性があるため、調査によって結果が大きく異なることもある。どんなアンケート調査結果にも多くの落とし穴が潜んでおり、また正しい調査結果と誤った調査結果を見分けるだけの専門知識を持っている人は少ない。調査を実施した組織も分かっていないのではないかと思えるケースも多い。

 同様に、製品テストの結果や性能に関する記述を読む場合は、その数字がどのようにして得られたのか確認すること。日常的にテストを実施している大手出版社や調査会社は、自分たちのテスト手法に自信を持っているが、彼らのテスト結果が製品の宣伝に利用されることもある。

 ベンダーがスポンサーとなっているテストの場合はどうなのだろうか。例えば、Microsoftが自社製品とLinuxとの比較広告を行っているようなケースだ。その情報が真実だとしても、もしMicrosoftがそのテストを社内で行っていれば、だれもその情報を信じないだろう。それにベンダーが資金を提供しないとすれば、テスト機関はどこからテストの経費を捻出すればいいのだろうか。テストが複雑で高い費用がかかる企業向け製品の場合はなおさらそうだ。

 Microsoftの委託で行われた最近の調査については、こちらをクリックしていただきたい。この調査は、Windows 2003の方がRed Hat Enterprise Linux AS 3.0よりも信頼性に優れていると結論づけている。

 ベンダーは数字そのものをねつ造しないにせよ、自分にとって最も都合のよい数字を宣伝するものだと筆者は考えている。そしてベンダーは、自分にとってあまり都合がよいとは言えない結果を無視することもあるだろう。

 細かい文字で書かれた部分を読めば、“仕組まれた”テストとまでは言えなくとも、ベンダーにとって都合のよい結果が得られるようなテストであることを示すサインが見て取れるかもしれない。

 筆者はこういった広告はフィルタを通して読むことにしている――「宣伝文句はウソではないが、その企業にとって最も有利な事例と競争相手にとって最も不利な事例を比較している可能性がある」というフィルタだ。

 理想を言えば、あらゆる調査は、最終的にその情報の利用者が費用を支払うのが望ましい。そうであれば、調査会社の利害と利用者の利害が一致するからだ。報道機関の場合も同様に、広告を掲載しない「Consumer Reports」誌(訳注:米国の製品テスト雑誌)のように、読者が負担する費用だけが収入源であるのが理想だ。

 だが、これに関しては問題が2つある。まず、読者や消費者は情報を利用しても、情報にお金を払うのを好まない。第2に、ベンダーは自社のメッセージを潜在顧客に伝える必要があり、宣伝はそのための合法的な手段であるということだ。

 筆者がメインストリームのソースから得る情報の90%は、全面的に信頼できるわけではないにせよ、少なくとも意図的にねじ曲げられてはいないと思う。ソースがメインストリームから外れていればいるほど、筆者は疑ってかかるようにしている。

 筆者の友人のアナリストたちの結論もこれとほぼ同じだ。「自分の勤めている調査会社は信用できるが、ほかの会社の情報は少し疑ってかかる。ときには大いに疑うこともある」と彼らは口をそろえる。

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