HP幹部が語る「カーリー・フィオリーナ後」(2/2 ページ)

» 2005年04月15日 19時40分 公開
[IDG Japan]
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リバモア氏 UNIX市場の成長率は1けた台の下の方ですが、RISC市場は200億ドル規模です。200億ドル規模の市場が、2〜3%の率で伸びているのです。シェアを握ることができれば、今なおかなり魅力的な市場です。Linuxは最も小規模ですが、最も急成長しているセグメントです。われわれはUNIX、Windows、Linuxに等しく力を入れています。

―― もしあなただったら、2000年にPricewaterhouseCoopersのコンサルティング部門の買収が検討されていたときに、買収に踏み切っていたと思いますか?

リバモア氏 私はその話し合いに確かに参加していました。当時は、彼らの評価額は高すぎたのです。あのときHPが取引をまとめようとしなかったのは良いことでした。当時はどのシステムインテグレータも市場価値がずっと高く、その後3〜4年で下落したのですから。

 われわれとしては、システム統合市場では、ますます多くの業務がオフショアで行われるようになっていると考えています。大規模なシステムインテグレータに付随する労働要員に目を向けると、彼らが戦っているのは、自らのビジネスモデルにおいて、オンショアとオフショアリソースの比率を適切な状態に移すためです。

 そもそも、われわれのこの(サービス)分野での事業はあまり大きくありません。ですから最初からより多くのアプリケーション関連作業をオフショアで行うビジネスモデルを構築しようとしています。この分野での手持ちの労働力があまり多くないからです。

 このため、顧客関係管理、幹部との日常的なやりとりの一部、おそらく顧客と密に協力しなくてはならない設計業務の一部以外が、コスト効率が高くて高品質な場所――たいていは西欧や米国ではありません――で処理される、かなり異なるモデルを確立することになるでしょう。

 HPのサービス事業を見ると、今やグローバルデリバリーセンターの(オフショア)労働力の20%が世界中のプロジェクトに取り組むまでに進歩しています。われわれの(サービス事業の)6万5000人の社員のうち、20%がインド、中国、東欧、コスタリカ、マニラにいます――品質レベルは信じられないくらいです。中国とインドではSEI-CMM(Software Engineering Institute's Capability Maturity Model)Level 5の品質を達成しています。これらの両国でLevel 5に達しているのは当社だけです。

 ですからわれわれが構築しているモデルは違うのです。われわれが大規模なシステムインテグレータを買収しないのは、ビジネスモデルが劇的に変化していると考えているからです。最後の世代のモデルを有している企業を買収するのではなく、むしろ、まだ大きくない分野で次世代ビジネスモデルを構築しようとしているのです。

―― IT業務のオフショア化は米国のIT労働者にとって感情面で問題となっています。それにどう対処しますか?

リバモア氏 われわれから見れば、HPの大きなアドバンテージの1つは世界的な組織だということです。既にサービス事業の40%はEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域で、35%は米国で、25%はアジアで行われています。これらの地域に顧客基盤があり、従業員基盤があるわけです。長期的視点では、従業員と顧客が気にしているのは、市場で支持を得ている企業です。価格やコストの面で競争力がないために支持を得られていない企業は、従業員と顧客を失うでしょう。コストが高すぎて支持されない企業で働きたい人はいません。

 われわれは、低コストセンターにもっとIT業務を移管する必要があると分かっており、こうしたセンターに財務・会計や人事機能の一部を移す必要性を認識している多数の従来型大手製造業者と話をしています。ビジネス世界のほとんどの人がこのことに気づいています。

―― しかし、市井のIT労働者はそうではないでしょう。

リバモア氏 IT業界はもはや4〜5年以上同じところにとどまっていることはありません。どんなテクノロジーがホットなのか、どこが成長しているのか、どこにチャンスがあるのかを考えてください。IT専門職は常に新しいスキル、知識、理解を作り上げる必要がありました。ITの主導者を務めてきた人々は、技術レベルで個人であるか管理者であるかにかかわらず、常に新しいものを発展させ、学んできました。それが答えです。人々や管理者に長期的なスキルプランニングを考えさせる必要があるということです。

―― 昨年夏、サーバ・ストレージ事業が業績目標を達成できなかったときに、ピーター・ブラックモア氏と2人の幹部を解雇したカーリーの決断は物議を醸しました。この処分について、あなたの気持ちは?

リバモア氏 この決定に私は関わっていませんでした。それは適切なことです。彼は私の同僚であり、私の直属ではありませんでしたから。

―― どこかでCEOになりたいという野望は?

リバモア氏 私は今現在この業界で最高のIT職に就いています。現状には非常に満足しています。

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