コラム
» 2005年04月01日 11時28分 公開

「無名の」HP新CEOにあって、「有名な」フィオリーナにないもの

マーク・ハード。広く知られている名前ではない。しかし、HPが新CEOとして指名したこの人物は、HPが求めている実力と経験を持っているのだ。

[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 マーク・ハードっていったい誰? カーリー・フィオリーナを引き継ぐ新しいHPのCEOにマーク・ハードが決まったぞ、と友人から突然電話がかかってきたとき、思わず「いったい誰だ? そんな名前聞いたことないぞ」と答えていた。カーリーが失敗したことをうまくやり抜くこと、それが彼に託された使命だと私は考える。

 問題はここだ。電話をかけてきた友人は、ハード氏のことを知らないし、経歴も知らない。たぶん長いことHPの幹部職にいたんだろう、くらいの推測でしかない。でもなんで外部の人間じゃないんだ? 外部の人間ならわれわれも名前くらい知っているはずだろ? トップの名前イコールHPとまでなった人物の後任だぞ。無名の人間になんて引き継げるわけないだろう?

 確かにハード氏の幹部歴は長い。ただ、企業規模がHPよりもずっと小さいから、誰もがCEOの名前を知っているというわけではないのだ。

 オハイオ州デイトンに住んでいるなら、その秘密を知っているかもしれない。マーク・ハード氏はNCRに25年間在職し、最後の2年間はCEOを務めた。オハイオ州デイトンは、そのNCRの本社が置かれている土地なのだ。

 つまり、HPは「無名な」人物を選択したというわけだ。無名といっても、年間収益が60億ドルを超える企業規模と比較して、だけれども。

 知名度の問題はさておき、ハード氏というのはうまい選択のように思える。彼はNCRを再生に導いた。NCRはAT&Tに買収されいじくり回された後、立ち直るのに苦労していた。再度スピンオフした後でようやく復活を果たしたのだ。

 HPユーザーのほとんどはハード氏の名前を知らないかもしれないが、この名前はウォールストリートでは高い評価を得ている。HPは、この名声を今すぐにでも利用したいことだろう。

 ハード氏がCEOに就任してから、NCRの株価は3倍以上になった。もっとも、3月29日に彼が辞職すると発表されてからはその株価は17%も下落してしまったが。この時点では、ハード氏はある世界的なテクノロジー企業に転職するために辞職するとだけ発表されていた。

 同日遅く、HPはハード氏をCEOに指名すると発表した。カーリーは会長を兼任していたから、それよりはちょっと落ちるポジションだ。フィオリーナ氏が兼任していた会長職は、同じく女性のパトリシア・ダン氏がそのまま引き継ぐと予想される。

 NCRのビジネスは数多くの業界にまたがるもので、ある意味でHPのビジネスに似ている。両社ともに「古い」企業で、緊迫した、激しい競争が繰り広げられている経済状況に適応することの困難に直面している。フィオリーナがHPでやろうとしてできなかったことは、それだ。

 ハード氏の指名にはだれもが安心することだろう。HPは会社を運営するうえで必要な、強力な事業成果を上げていくはずだ。ハード氏はフィオリーナ氏のように、HPのブランドの代わりになるような強力なパーソナリティーを持っているわけではないけれども。

 マーク・ハードという人物がHP本社のあるパロアルトに着任すれば、注目度は高まるだろうが、NCRにおける彼の経験と成功は、HPにとってよい前兆だ。今のHPには真のリーダーが必要だ。どうやら、そのリーダーは無事に見つかったようだ。

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