SOA推進へISVの力を集めたい日本IBM(1/2 ページ)

IBMが主要ISVを集め、SOA Technology Summitを開催した。パッケージの部品化が、SOAという考え方が浸透する原動力になるとし、ISVの早期対応を促した。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

» 2005年04月17日 20時16分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムは4月14日、国内主要ISV25社を伊豆・天城の研修施設に集め、「SOA Technology Summit」を開催した。ISVを対象にしたセミナーは4回目というが、SOAをテーマに意見交換をしたのは初めてという。

 企業向けアプリケーションの開発や稼動の環境がJ2EEなどによってオープン化に向かう中、プラットフォームベンダーとISVの関係が大きく変わりつつある。業界標準化に伴い、OSやミドルウェアとアプリケーションの依存度が薄まり、いわゆる「囲い込み」が難しくなっているからだ。

 また、Webサービス標準の進展やそれを技術的なベースとして利用するSOA(サービス指向アーキテクチャー)の潮流もISV市場に新たな変化をもたらしている。

 ご存じのようにSOAは、企業のアプリケーション資産を再利用可能なサービスとして切り出し、必要に応じて組み合わせてシステムを構築する手法のこと。ハードウェア分野でも「仮想化」が脚光を浴びているが、SOAはそのソフトウェア版と言ってもいい。実装と利用者とのあいだにサービスやビジネスプロセスという新しい中間層を設けることによって分離させ(実装を仮想化し)、企業を取り巻く環境の変化に強いシステムを構築する考え方だ。

 「競争が激しくなる中、企業のビジネスモデルのライフサイクルは5年を切っており、2〜3年で次の手を打たなければならない」と話すのは、日本IBMソフトウェア事業部でサポート&サービスを担当するディスティングイッシュトエンジニア(DE)の長島哲也氏。

 「戦略やビジネスモデルが短命化する中、ITは柔軟にしておかないといけない」(長島氏)

社内でITアーキテクトの育成にも努めている長島DE

パッケージの「部品化」

 Webサービスによって、プログラム間の結合技術は新たな段階に入った。既に成熟しつつあるWebサービス技術を利用すれば、異なる言語、異なるプラットフォームのプログラム同士が呼び合える。新たに書いたアプリケーションだけでなく、既存のアプリケーションもラッパーによって部品化できるし、ISVがSOAの考え方を取り入れてくれれば、パッケージアプリケーションも部品として活用できるようになる。

 特に日本の企業では、パッケージアプリケーションといえどもカスタマイズが求められ、それがしばしばコスト高や保守性の悪化を引き起こしている。しかし、ISVらがSOAを採用してくれれば、実装はそのままにし、それをどう組み合わせるか、既存資産や他社製アプリケーションとどう組み合わせるかによってカスタマイズできるようになる。粒の大きさはともかく、パッケージアプリケーションは良い意味で「部品化」が進むといっていい。

 SAPがNetWeaverによって実現しようとしているサービスベースのアーキテクチャも同様だ。SAPが提供するサービスと顧客自身の既存システムから切り出したサービス、あるいは他社製アプリケーションのサービスを柔軟に組み合わせられる世界を彼らも描いている。

 「パッケージが部品化されると、既存のアプリケーション資産と容易に組み合わせられるようになる。これがSOAという考え方が浸透する原動力になる」と長島氏。

 ソフトウェア事業部でシニア・テクノロジー・エバンジェリストを務める米持幸寿氏も「ネットワークの普及を振り返ってみても、ユーザーがイーサネットケーブルのジャックを自作しているうちはまだまだだった。SOAもユーザーが自作を止めたときが普及したときになるだろう」とし、ISVらにSOAの早期採用を促す。

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