SymantecのCEOが明らかにした「Veritas合併後」の計画

先日行われたStorage Networking Worldにおいて、SymantecのCEO、ジョン・トンプソン氏がVeritasとの合併後の計画を明らかにした。

» 2005年04月18日 21時55分 公開
[IDG Japan]
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 Symantecのジョン・トンプソンCEOは先週、同社とVeritas Softwareとの合併が完了次第、コンシューマー向けのデータバックアップ/リカバリ製品を発表する予定だと述べた。これはVeritasが4年前に製品化を断念したものだという。

 アリゾナ州フェニックスで開催されたStorage Networking Worldにおいてキーノートスピーチ後の記者会見に臨んだトンプソン氏は、Veritasとの合併計画について言及し、総額135億ドルに上るVeritasの買収は5月中に完了する見通しだと語った。

 「全般的に極めて順調だ。5月末には新生Symantecの初日を迎えたいと考えている。証券取引委員会の作業はまだ終わっていないが、まもなく完了する見込みだ」(同氏)

 トンプソン氏はさらに、レジリエント型インフラアーキテクチャの構想も披露した(訳注:レジリエントとは障害復元力が高いことを意味する)。このアーキテクチャには、単一のユーザーインタフェースを使用するセキュリティ/バックアップアプリケーションが含まれる。

 投入予定のコンシューマー向けバックアップ製品に関してトンプソン氏は、「合併発表前から開発を進めていた」ことを明らかにした。この製品は「Norton」ブランドを採用し、データ保護/検索/アーカイビング機能などを提供する。

 トンプソン氏によると、Symantecのサービス収入を3倍以上に増やしたいという。両社が正式に合併した時点でのサービス収入は総売上高の3%になる見込みだが、これを10%に引き上げたいとしている。

 「やるべき仕事はまだある。コンサルティングビジネスの市場機会は、ソフトウェアビジネスの3〜5倍の規模だ。ほとんどの企業では、成長の制約要因となっているのは市場機会ではなく人的資源だ」と同氏は話す。

 トンプソン氏によると、SymantecとVeritasの統合製品シリーズには共通のツールセットと言語が組み込まれ、これらはすべて単一のSymantec管理インタフェース上に置かれるという。

 「しかし合併完了後すぐに巨大な新アーキテクチャを提供するということではない」と同氏。

 Symantecでは、合併後の最初の半年間はバンドル製品を提供し、それから1年かけて製品の統合を進める方針だ。具体的には、Veritasの電子メールアーカイブ用ソフトウェアとSymantecのウイルス対策ソフトウェアの統合や、Symantecの「DeepSite Threat Management System」とVeritasのデータバックアップ製品「NetBackup」との統合などが計画されている(関連記事)

統合後のサービス体制は?

 Veritasの顧客の中には、両社の製品ラインおよびサポート業務が統合されることに対して不安を表明する人もいる。

 イリノイ州ノースブルックにあるAllstate Insuranceの主任ITアーキテクト、ジョエル・ホワイト氏もそういったVeritasユーザーの一人だ。「Symantecはどちらかと言えばコンシューマー志向の企業であり、一方、Veritasは非常に企業志向の強い企業だ」と同氏は話す。

 「私にとって最大の関心事は、ソフトウェアに支払う費用およびそのソフトウェアから得られる価値だ」(ホワイト氏)

 Symantecは既に統合管理オフィスを設立し、そこでは100人のスタッフがフルタイムに近い形で統合作業に取り組んでいる。また、両社合わせて500〜600人の従業員が、勤務時間の一部を統合作業に割り当てているという。

 トンプソン氏によると、合併後の販売部門は約3700人のスタッフで構成され、「販売機会に基づくノルマ方式」を採用するという。

 「Veritasが採用していた固定ノルマ方式とは異なり、ある販売員が担当する顧客が5000万ドルの売り上げ機会を提供すると予想される場合、その売り上げ予測に基づいてノルマが設定されるのだ。あらゆる販売員に対して200万〜400万ドルの売り上げを期待できるので、全員に400万ドルというノルマを与えるという方式ではない」とトンプソン氏は説明する。

 「低いノルマを達成することに汲々とするのではなく、販売スタッフ全員が売り上げ機会に注目するようにさせたい」(同氏)

 合併後も、両社のサービス担当者のどちらかを顧客が選択できるようにするという。

 「両社の統合を進めるに際して、顧客との関係を損なうようなことだけは避けるつもりだ」とトンプソン氏は話す。

 「顧客はいずれ、どちら側の担当者にサービスを担当してもらうか決めるだろう。その担当者を通じて、製品担当スタッフや技術スタッフが個々の技術に関する問題に対応する形になる」(同氏)

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