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» 2004年12月21日 21時07分 公開

Veritas買収で新分野への事業拡大を狙うSymantec

SymantecによるVeritasの買収は、エンタープライズソフトウェア市場での影響力を一段と拡大するチャンスを同社にもたらす、とユーザーやアナリスト。

[IDG Japan]
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 ユーザーやアナリストらによると、ITセキュリティベンダーのSymantecによるVeritas Softwareの買収は、エンタープライズソフトウェア市場での影響力を一段と拡大するチャンスを同社にもたらすという。

 しかしVeritasを吸収するという方針は、技術統合という難問をSymantecに課すものであり、同社がこのような選択をしたのはセキュリティ関連ビジネスの分野でMicrosoftやCisco Systemsなどの巨大ベンダーとの競争が激しくなってきたことが背景にある、と指摘する声もある。

 Symantecでは、今回の合併によって同社は世界第4位の独立ソフトウェアベンダーになるとしている。合併後の予想年間売上高は約50億ドルで、同社はウイルス対策/ファイアウォール/侵入検知製品とVeritasのデータバックアップ/アーカイビングツールおよびサーバ/アプリケーションパフォーマンス管理用ソフトウェアを組み合わせた製品ポートフォリオを保有することになる。

 バージニア州アーリントン郡政府の最高情報セキュリティ責任者、デーブ・ジョーダン氏は、「この買収を機にSymantecはセキュリティベンダーだという見方を改め、サイバー業界におけるWal-Martのようなベンダーだと考えた方がよさそうだ」と話す。

 「彼らは潤沢な資金とトップクラスの製品を持っており、今やまさに絶好調だ」(ジョーダン氏)

 同郡では現在、EMCのストレージハードウェア/ソフトウェアを使っている。しかしジョーダン氏によると、SymantecはVeritasを手に入れたことで、自社のセキュリティツールにストレージソフトウェアをバンドルし、それをEMCの製品よりも競争力のある価格で提供できるかもしれないという。

 「しかしSymantecにとっての課題は、すべての製品を共通の管理インタフェースとアーキテクチャの下に統合することだろう」と指摘するのは、ニューヨークに本社を置き、金融サービス会社にネットワークサービスを提供しているRadianzのセキュリティ責任者、ロイド・ヘッション氏だ。

 「Symantecは既存のセキュリティ製品群を効果的に統合していない。Veritasの製品を追加することによってこの問題が解決されることはなく、状況がさらに悪くなる可能性もある」とヘッション氏は話す。

 ニューヨーク州ロチェスターにあるEastman KodakでUNIXシステムを管理するシニアアドミニストレーター、ドンジン・キム氏は、Veritasの「NetBackup」ソフトウェアを使っている。キム氏によると、Symantecは優れたソフトウェアベンダーだが、同社がストレージに関するノウハウを豊富に持っているとは思わないという。

 「彼らがVeritas製品をきちんと扱えるかどうか心配だ」とキム氏は話す。「Veritasがストレージハードウェアベンダーに買収されたのだったら、もっと安心できたのだが」と同氏は付け加える。

 カリフォルニア州クパティーノに本社を置くSymantecのジョン・トンプソンCEOは12月14日に行われた電話会見で、「来年4〜6月期に買収が完了した後で製品統合のロードマップを発表する予定だ」と語った。

 「われわれは両社の技術力を活用するための大きなチャンスを手に入れた。戦略製品ラインや研究開発の面で重複する部分はない」(トンプソン氏)

必ずしも芳しくない合併実績

 しかしGartnerのアナリスト、ジョン・ペスカトール氏によると、買収で手に入れた製品を自社の製品ラインに緊密に統合するという点では、Symantecの過去の実績は必ずしも芳しいものではないという。

 例えば、同社が2000年に行ったAxent Technologiesの買収、そして2年前のRipTechの買収の成果はまだ現れていない、とペスカトール氏は指摘する。「私がSymantecの顧客だとしたら、これらの買収の結果にも注目するだろう」(同氏)

 Forrester Researchのアナリスト、スティーブ・ハント氏によると、Veritasを手に入れるという作戦は、Symantecの新しいInformation Integrity戦略に沿ったものだという。企業のシステムを取り巻く運用面とセキュリティ面のリスクを、ITマネジャーが総合的に把握することを可能にするソフトウェアにフォーカスする、というのが同社の新戦略だ

 「Symantecはエンタープライズリスク管理企業への脱皮を図ろうとしている」(ハント氏)

 ペンシルベニア州マルバーンにあるSpire Securityのアナリスト、ピート・リンドストロム氏は、「ITセキュリティ市場での競争が激しくなってきたため、Symantecはほかの分野で事業拡大を図る必要があるのだ」と指摘する。

 例えばMicrosoftでは、Windowsにウイルス防止機能を組み込む作業を進めている。さらに同社は先週、スパイウェア対策ツールベンダーのGIANT Company Softwareの買収を発表した。

 一方、Ciscoをはじめとするネットワーキングベンダー各社も、それぞれのルータやスイッチに強力なセキュリティ機能を組み込んでおり、今後、スタンドアロン型セキュリティソフトウェアに対する需要がさらに低下することも予想される。

 SymantecとVeritasの合併の背景には、「セキュリティ分野では不透明な部分が多おいため、巨大企業を成長させるのが難しいという認識がある」とリンドストロム氏は話す。

 「Symantecはもう少し強固な土台を必要としているのだ。バックアップソフトウェアは不況の影響を受けることがない」(同氏)

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