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» 2004年12月17日 15時19分 公開

Symantec-Veritasの取引に残る疑問

両社の製品をどう統合するのか? 新会社の幹部の役割は?――SymantecのVeritas買収は、答えよりも多くの疑問を生んでいる。(IDG)

[IDG Japan]
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 セキュリティ企業SymantecによるVeritas Softwareの買収は、両社の顧客と株主に恩恵をもたらす可能性を持っているが、135億ドルの取引の詳細が明かされても、重要な疑問に答えがないままになっている。業界幹部と専門家は取材に応えてこう語った。

 この買収により、Symantecは2006年の総売上高が推定50億ドルに達する強力なエンタープライズソフト会社になる。しかし、両社の製品をどう統合するか、統合後に社長の地位を担うVeritasのゲリー・ブルームCEO(最高経営責任者)とSymantecのジョン・シュワルツCOO(最高執行責任者)の役割はどうなるのかといった未解決の問題も残っている。

 米カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置くVeritasは、バックアップ、アーカイブ、ファイルシステムソフトを販売している。同州クパティーノに本社を置くSymantecは、家庭やオフィスのコンピュータシステムとネットワークを保護するソフトを販売している。今回の取引は2005年4〜6月に完了する見通しだと、同社の共同声明には記されている。

 SymantecとVeritasの幹部は、統合後の新会社は、企業顧客が「データの完全性と可用性」という2つの差し迫った問題を解決する手助けができると期待していると、Veritasのデータ管理部門執行副社長ジェレミー・バートン氏は語る。

 「CIO(情報統括責任者)が直面する2大リスクは、システムに侵入する人物とシステム障害だ。われわれがこれらの問題を解決できれば、CIOの不安はかなり軽減されるだろう」(バートン氏)

 州政府および連邦政府の新しいデータプライバシー規制では、情報の完全性が厳しく要求される。さらに多くの企業が可用性の高いWebサービスに向かっていることで、ITインフラへの需要が高くなっている。新会社はこれら両方のニーズにフォーカスし、弾力性があって可用性が高く、かつ安全なデータストレージシステムを求める企業向けに、ストレージ管理とセキュリティ管理技術・サービスを統合するとSymantecのシュワルツ氏は説明している。

 アナリストは、セキュリティとストレージ技術はうまく調和できるという見方に同意している。

 「セキュリティはすべてのITディレクターの優先事項の中でトップ3に入る――ウイルス、セキュリティ、データ管理がトップ3だ」とTechnology Business Research(TBR)のアナリスト、スコット・ホワイトヘッド氏。「いい組み合わせだと思う」

 この数カ月、Symantecはデータの完全性を協調しており、今回の買収はその決定に沿ったものだと、IDCのクリス・クリスチャンセン氏は言う。また買収によりSymantecは、エンタープライズソフト市場にもっと大きく踏み込むことになる。この市場は、MicrosoftがWindowsにより多くのセキュリティ技術を統合する方向に動けば、同社に大きく貢献するだろうと同氏。

 「Microsoftは明らかに、自社ソフトにおけるセキュリティへの姿勢を改善するべく手を打たなければならない。それはウイルス対策ベンダーやほかのクライアントセキュリティ製品に悪影響を及ぼすかもしれない」(同氏)

 しかし、SymantecのVeritas買収は、少なくとも答えよりも多くの疑問を生んでいる。

 両社は互いの製品ポートフォリオの統合を計画し始めたばかりで、重要な計画が始まるのは2005年半ばに買収が完了してからになり、実際の製品の統合は2006年からになるだろうとシュワルツ氏は語っている。

 Veritasの買収は、Symantecの最近のほかの買収に疑惑の影を投げかけることになるとクリスチャンセン氏は指摘する。例えば同社は2003年9月にストレージ管理ソフトベンダーPowerQuestを、同年10月にON Technologyを1億ドルで買収した。

 両社の多様な製品ポートフォリオの統合は、ほとんどの人が思っているよりも容易だとシュワルツ氏は主張する。これら製品は既に、IBMのTivoliやHewlett-Packard(HP)のOpenViewなどの一般的なシステム管理プラットフォームに対応しているからだという。

 それでも、新会社はSymantecのセキュリティ管理アーキテクチャーと、Veritasのストレージ管理ツールセットを結合しなくてはならず、WebサービスとネットワークベースのAPIを使って、基盤にある異なるセキュリティ・ストレージ技術を隠す共通の管理インタフェースを作成しようと考えるかもしれないと同氏は説明する。

 Symantecはまた、コンシューマー向けセキュリティソフト事業の健全性を保つとともに、セキュリティ製品を次第に自社OSに取り込んでいるMicrosoftへのリードを維持する新技術を加える必要があるとクリスチャンセン氏は指摘する。

 「彼らはコンシューマー事業で成果を出さないわけにはいかない――成果が出なければウォール街は非難するだろう」とクリスチャンセン氏。

 また新会社におけるシュワルツ氏とVeritasのブルームCEOの役割も不明だ。両社の声明には、Symantecのジョン・トンプソンCEOが新会社のトップに就き、ブルーム氏は社長に任命されたとある。だがシュワルツ氏によると、実際には同氏とブルーム氏が社長の職を共同で務めることになっており、COOのポストは買収完了後になくなる可能性が高いという。

 シュワルツ氏は、ブルーム氏と協調して働けるし、新会社はCOOなしでやっていけるとの自信を見せている。ブルーム氏は「Go-To-Market」戦略を取り扱い、シュワルツ氏は製品ポートフォリオを監督する予定だ。

 「われわれは協力して事業を運営していく。私は人生において、37年間それをやってきた」(シュワルツ氏)

 シュワルツ氏とブルーム氏のような強い権限を持つ幹部が仕事をシェアリングしても、めったにうまくいかないし、長くは続かないとTBRのホワイトヘッド氏は指摘する。「もしうまくいったら、おそらく初めて成功したケースになるだろう。これまでの例を見ると、責任を共有した場合、最終的には誰かが辞めるか、もっと良い、大きな仕事に移るかしている」

 もしもシュワルツ氏を失ったら、Symantecはこの数年同社の戦略を成功に導いてきた人物を奪われることになるとクリスチャンセン氏。「(Symantec CEOの)トンプソン氏は考える人だが、シュワルツ氏は行動する人だ。シュワルツ氏は(トンプソン氏の)戦略を実行する役目にあり、非常に適切に実行していた」

 そうなったら、ブルーム氏が責任を負わされ、よそへ移る可能性がある――そのような決定が下されても驚かないとホワイトヘッド氏は話す。「ゲリー・ブルーム氏に関する私の知識と同氏の性格から考えると、同氏は別の新興企業に移るかもしれない」

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