ワイヤレス技術が社内ネットワークの革新を促す――米国の事例(1/2 ページ)

先週開催された「Gartner Mobile & Wireless Summit」では、ワイヤレスというインフラの上でエンドユーザー自らが考え出したさまざまな活用法が紹介された。

» 2005年04月18日 22時40分 公開
[IDG Japan]
IDG

 企業のネットワークマネジャーたちは、モバイルコンピューティング分野で大いに創造性を発揮しているようだ。これは必要性に迫られてのことでもある。ネットワーク、携帯デバイス、アプリケーション開発の各分野で急速に変化する技術に対応しなければならないからだ。

 先週フロリダ州オーランドで開催された年次イベント「Gartner Mobile & Wireless Summit」の参加者および講演者によると、企業のモバイル化プロジェクトには、目的を絞り込んだ上で、最初は小さな規模で導入して具体的な投資効果を見極めるパターンが多いという。収益だけでなく顧客満足や従業員の生産性なども投資効果に含まれる。

 ウィスコンシン州シボイガンにある保険会社AcuityのIS担当ディレクター、ティナ・ポクルジーウィンスキー氏によると、同社では現場の損害査定人が、セルラーNICを搭載したノートPCなどを使って会社のアプリケーションにワイヤレスでアクセスできるようにする方法を検討中だという。

 「新たな技術を導入すべきときがきた。当社の最高情報責任者は『これからはワイヤレスの時代だ。当社も準備する必要がある』と話している」(同氏)

焦点はアプリケーションに

 Gartner Mobile & Wireless Summitでは、セキュアなWLAN(ワイヤレスLAN)インフラを配備するための基本的な方法に関心があるという段階の参加者もいたが、その一方では、ワイヤレスネットワーク構築の次の段階を見据えている人もいた。

 カナダのアルバータ州カルガリーにある電力会社TransAltaのIT担当プログラムディレクター、ポール・カーチーナ氏は、「来場者の多くはITインフラ関連の人々だが、私の場合、ワイヤレスインフラそのものにはもう関心がない。今いちばん関心があるのは、『ワイヤレスネットワークの配備は完了したが、では実際、これで何ができるのか』ということだ。要するにアプリケーションをどうするかということだ」と話している。

 イベントの参加者らによると、ネットワークへのワイヤレスアクセスが可能な職場では、エンドユーザー自身が新しい活用方法を編み出しているという。

 例えば、TransAltaでは数カ所の発電所にWLANを配備し、現場用携帯デバイス「Symbol」を持った現場の保守担当者が、バックエンドにある設備/修理データベース、発注システム、新しいモバイル対応ワークフローアプリケーションなどにアクセスできるようにしている。カーチーナ氏によると、このシステムのおかげで、保守点検や各種保守業務の多くで作業時間が半分に短縮されたという。

 「システムを配備するや否や、作業員たちが新しいアプリケーションを提案し始めた。彼らは自らソリューションを考え出している」とカーチーナ氏は話す。

 そういったアイデアの1つが、老朽化が進むマシンに5000ドルの802.11bセンサーを取り付けるというもの。センサーのデータを利用することにより、TransAltaは装置の寿命を6カ月延長することができたという。これは大きな投資効果だ。同社は現在、さらに多くのワイヤレスセンサーの配備を進めている。

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