ほんとに、IT Doesn't Matter?ITは経営戦略の実現に貢献しているのか(3/4 ページ)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[大野隆司(ヘッドストロングジャパン),ITmedia]

 ITの世界ではこの10年間で、標準化やパッケージ化が進んだため、それ以前と比較とするとシステム導入はかなり容易になってきている。ITを組み込んだオペレーションの構築にかかる期間は、たとえば1990年代前半と比較しても、かなり短くなった。それに併せて、投資コストも減少傾向にある。ただし問題は、こうしたメリットが、競合他社も享受できるものであることなのだ。

 1980年代の半ばから1990年代初頭にかけて、SIS(戦略情報システム)という言葉がブームとなった。これは「競争優位を獲得したり、敵対企業の力を弱めたりするための競争戦略を、支援あるいは形成する情報技術の活用」と定義される。代表例として常に、アメリカン航空の旅行代理店向けの座席予約システム「SABRE(セーバー)」が話題に上っていたものだ。

 この時代は、競争優位を創出するオペレーションがITに依存していることが非常に効果的であった。なぜなら、時間やコストを考えると、他社が模倣することは実質的に難しかったからだ。

 しかし、パッケージアプリケーションを活用したITの構築が主流となってきた現在、競合他社が情報システムを模倣することは決して難しくない。技術の標準化の進展、パッケージを活用したシステム構築の一般化、そして、ITベンダー側からのマスマーケティングの活性化による情報の拡散により、ITの模倣は加速していくことになる。

IT投資の意思決定の変化

 あえてここで、もう一度考えてみる。企業は、本心からIT投資に絶望し、ITが企業価値を改善しないと考えているのか?

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