コミュニケーションに方法論を持ち込もう進化する設計手法(2/3 ページ)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[吉田育代,ITmedia]

 

 しかし、どんなにがんばって聞き出したところで、「これで完璧に聞き切った、聞き漏らしたことはもう何もない」というようなことにはならない。もし仮に完璧に聞き切ったとしても、それは1人のユーザーの理解や要望で生まれた属人的なものであったりする。

 所詮、聞くという単純なコミュニケーションだけで正しく開発すべきシステムの全貌を把握するには無理がある、システム要求というのは、もっと科学的でロジカルなプロセスで導き出されるべきなのだ。

 SEのそうした積年のもやもやした思いを晴らすべく、今年の3月15日に要求開発アライアンス(Requirement Development Alliance)が設立された。同アライアンスは、2003年にはじまった私的勉強会であるビジネスモデリング研究会を母体としており、清水建設の安井昌男氏や日本総合研究所の細川努氏、豆蔵の山岸耕二氏といった、オブジェクト指向のリーダー的存在であったメンバーが参加していた。そして、要求開発アライアンスが提唱しているのが、Openthology(Open Enterprise Methodology:要求開発方法論)である。

3月15日に行われた要求開発サミットの様子。左から、サン・マイクロシステムズの中村彰二朗氏、マイクロソフトの萩原正義氏、三菱マテリアルの甲元宏明、ウルシステムズの河野正幸氏、「ユーザー視点による業務の可視化」について講演した総合建設会社勤務の野田伊佐夫氏。

 Openthologyは「情報システムに対する要求は、あらかじめ存在しているものではなく、ビジネス価値にもとづいて『開発』されるべきものである」というスタンスに立って開発された。

 既にある要求を探すのではなく、「開発するもの」と捉えることはすなわち、顧客企業とSEが協力し合わなくては何も生まれないことを意味する。つまり、Openthologyは顧客企業とSEのコミュニケーション問題の構造的な解決を図る方法論とも言える。

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