コミュニケーションに方法論を持ち込もう進化する設計手法(3/3 ページ)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[吉田育代,ITmedia]
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ビジネスの可視化によるシステム化がカギ

 Openthologyが定義する具体的なプロセスは次のようになる。まず、要求開発推進チーム、ビジネスモデリングチーム、新システム開発チームなどからなる要求開発組織を発足させ、ユーザー企業のビジネス要求を基に、あるべき業務プロセスの設計を行う。

 一方で、同組織は、情報システムが担うべき要求を定義していく。この中には、業務構造の視覚化、業務分析、業務設計、IT化のスコープ決定、システム化計画立案などの作業が含まれており、このプロセスでのアウトプットが、後続のシステム開発プロジェクトのインプットとなる。

 ここでは、ビジネスの構造とメカニズムを明らかにし、それらをモデル化して可視性を高め、顧客主導のシステム化アプローチを取る。これにより、顧客企業とSEが個人の資質に頼らない形で、具体的かつ理解しやすい成果物を手にしながらコミュニケーションできるため、お互いに不安を抱えることなく合意に至ることが可能になる。

 エンジニアは、開発の効率を上げるツールの導入には抵抗がない人種だ。要求分析も開発と考えれば、こうしたロジカルな仕組みは、大いに歓迎できるのではないだろうか。顧客の本当に求める正しいシステムを速く正しく開発するために、コミュニケーションに自信のあるSEにも、自信のないSEにも検討をお勧めしたい。

UML(Unified Modeling Language)の是非について会場で行われたディスカッションでは、「UMLに頼るのではなく、使いどころを認識するべき。クラスをまたがるという意味で、(組織横断が不可欠である)ビジネスルールの作成にオブジェクト指向は向いていない」と話す萩原氏。戦略、コストにモデリングは向いていないと話し、今後、モデリングの対象は現状とは異なっていくのではないかと話した。(サミット取材、写真注は編集部、怒賀新也が担当した。)
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