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» 2005年05月06日 19時56分 公開

「楽々フレームワーク」で構築する変化対応力のある情報システム

「ISVエコシステム」を展開する戦略のもとISVを支援するIBM。IBMのミドルウェア上で、楽々フレームワークという共通プラットフォームを実装して顧客の問題解決を支援する3社に話を聞いた。

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 日本IBMはISV(独立系ソフトウェアベンダー)を支援することによって、さまざまな企業のアプリケーションの機能を集め、必要な機能を組み合わせて新たなアプリケーションを構築していくという考え方を「ISVエコシステム」として展開しようとしている。データベースであるDB2やアプリケーションサーバであるWebSphereをベースに、ISVにアプリケーションを開発してもらうというのが基本的な戦略だ。つまり、ミドルウェアに特化して、アプリケーションはパートナーを通じて間接販売していこうという考えだ。

 こうしたパートナー企業の中に、Javaの開発環境を提供する住友電工情報システムがある。同社の提供するのは、IBMのアプリケーションサーバであるWebSphere、およびデータベースであるDB2をベースにしたJava開発環境「楽々Framework」だ。

住友電工情報システムの岩佐社長(右)、リード・レックスの梶山社長、メディアワイの石原社長(左)

 楽々Frameworkについて、同社の岩佐洋司社長、また、楽々Framework上で稼動する販売・生産管理システム「R-PiCS」を提供するリード・レックスの梶山桂社長、会計パッケージ「myES」を提供するメディアワイの石原康男氏に話を聞いた。

 岩佐氏は、IBMと協業する理由について、「まず、DB2のパフォーマンスが良く、コストが低かったことを評価した。そして、何よりも、DB2をサポートしたことによりIBMの販売チャネルを活用できる点がメリットと考えた」と話す。

住友電工情報システムの岩佐氏

 3社が提供するシステムの特徴について、住友電工情報システムの岩佐氏は、「生産管理、会計のモジュールがすべてJavaで稼動し、ブラウザをサポートし、DB2およびWebSphere上で稼動し、パフォーマンスもいいというシステムはほかにないのではないか」とアピールする。

 同氏によると、通常、Javaを使う場合はオブジェクト指向設計を行うが、失敗するケースが多いという。そこで、楽々フレームワークでは、DOA(Data Oriented Approach)と呼ばれる手法を用いることでシステムの構築を図る。DOAでは、業務分析をしっかりと行ってから、データベースをしっかりと設計するため、変更に強いシステムを構築できることが特徴だ。

 一方、生産管理のR-PiCSは、自動車や機械などの組立加工業向けのパッケージで、実際に住友電工で利用されている。楽々フレームワーク上で、住友電工だけでも、日本に加え、インドネシア、中国、米国などで利用されており、完全Web対応を特徴としている。また、myESも同じく、楽々フレームワーク上で、Webに対応した会計パッケージとして多くの企業に導入されている。

 3者にビジネスのキーワードを聞くと、メディアワイの石原氏が「Webエンタープライズコンピューティングの本格化が実際に起きてくるのではないか」と話す。3年ほど前から言われてきたものの、ようやく、Web上で基幹システムを稼動させるという意味でのWebエンタープライズが本格化する兆候を捉えているという。また、住友電工の岩佐氏も、ダウンサイジングの本格化を感じ取っており、それがWebエンタープライズという形で進むとしている。

 一般に、製造業の基幹システムにパッケージソフトウェアを導入する場合に課題になる点として、日本の製造業の場合、工場が強いため、ソフトウェアの管理手法に工場が従わないといった点が問題視されることがある。これについて、R-PiCSを提供する梶山氏は、「そのとおり」とする一方で、「トップダウンでシステムを導入する欧米的なスタイルが必ずしも正しくないと私は考えている」と指摘する。

梶山氏

 なぜなら、トップダウンによる導入は、それまで企業が蓄積した製造方法論を否定するところから始まるからだ。「トップダウンの方がソフトウェアベンダーとしては楽だが、その企業の良さはどうなってしまうのか」(同氏)。ここでは、製造業にとって生産管理は企業の個性であり、差別化の要素であるため、パッケージで置き換えることが必ずしも競争優位につながらないという意見を後押しする形となった。

 住友電工でも、欧米のパッケージも併せて導入製品を検討したが、結果的には、製番管理など現実的な機能を含むR-PiCSの採用に踏み切ったという。

 一方、梶山氏は、「韓国の工場などは、下請け制度に似たような形式になってきており、日本的になってきた。それが中国にも波及するのではないか。実際に、日本と中国の工場を合わせれば世界の半分であり、結果的に、日本の工場の運用方法が世界標準になるのでないかと最近密かに期待している」と加えた。

 また、石原氏は、今後の会計の傾向について、「管理会計に、売り上げや利益などを分析しようとする動きが出てきている」とトレンドについてコメントしている。

石原氏

 3社は、それぞれの強みを生かし、共同で新たなビジネスを展開していく考えを強調した。

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