MS、中小企業向け会計アプリを投入へ、サポートネットワークも準備

Microsoftはこの9月に、中小企業を対象とした会計ソフトウェア「Microsoft Office Small Business Accounting 2006」をリリースする予定だ。

» 2005年05月18日 12時48分 公開
[IDG Japan]
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 Microsoftは、中小企業向けの会計アプリケーション「Microsoft Office Small Business Accounting 2006」を9月にリリースする予定だ。

 この新製品の受け入れ環境を整備すべく、同社は会計士を対象として各種のネットワーキングサービスやサポートサービスを準備中だ。その1つが新しい「Microsoft Professional Accountants Network」で、これは3カ月以内に立ち上げられる予定である。

 Microsoftは、会計業界のイベントでも存在をアピールする考えだ。手始めとして、今週ニュージャージー州セコーカスで開催される「New Jersey Accounting, Business and Technology Show」カンファレンスでOffice Small Business Accountingを披露する。

 Microsoftはこの新製品により、Intuitの会計ソフトウェア「QuickBooks」によって現在支配されている市場に参入することになる。IDCでは、会計/財務管理ソフトウェアの市場でIntuitをSAPに次ぐ第2位のベンダーにランキングしている。

 だがSAPの得意分野は大規模なERP(Enterprise Resource Planning)システムであるのに対し、QuickBooksは従業員数が数十人以下の企業で構成されるローエンド市場をターゲットとする――MicrosoftがOffice Small Business Accountingで進出しようとしているのも、この市場セグメントだ。

 Microsoftは5月16日、Office Small Business Accountingのスタンドアロン版の価格を200ドルに設定する方針であることを明らかにした。同ソフトウェアは、「Microsoft Office Small Business Management Edition 2006」と呼ばれるバンドル製品の一部としても提供される予定だ。このバンドルには、Microsoftの「Business Contact Manager Update」のほか、Outlook、Word、Excel、PowerPoint、Publisher、Accessの各2003エディションが含まれる。バンドルの価格は公表されていない。

 Microsoftでは、Office Small Business Accountingへの関心を盛り上げるためにMicrosoft Professional Accountants Networkを準備している。これは、公認会計士(CPA)を対象として、技術サポート、継続教育トレーニングクラス、ネットワーキングリソースなどを提供するプログラム。

 Accountants Networkでは2種類の会員分類が設けられる。無償会員と年会費300ドルの有償会員である。有償プログラムでは追加技術サポートが提供されるほか、Microsoftの各種製品およびサービスを無料で利用することができる。

 またMicrosoftは、Office Small Business Accountingを無料でCPAに提供する考えだ。彼らがこのアプリケーションを採用すれば、クライアントに推薦するのを期待できるからだ。CPAがMicrosoftのWebサイトに登録すれば、Office Small Business Accountingの無償プレリリース版を入手することができる。

 Microsoftの米国スモールビジネスグループのゼネラルマネジャー、シンディ・ベイツ氏によると、このプレリリース版は現在出荷中で、ソフトウェアのフル機能が搭載されており、機能の制限や試用期限などはないという。

中小企業での受け入れ狙う

 Microsoftに協力しているパートナーBQE Softwareのシャファト・カザイCEOによると、Office Small Business Accountingは、現在、Excelを使って会計処理を行っている顧客に受け入れられそうだという。

 「現在、会計処理ソフトを利用しておらず、会計士がそばにいなければQuickBooksのようなアプリケーションを使いこなせないと考えているユーザーに訴求するだろう。Officeライクなインタフェースは非常に魅力的だ」とカザイ氏は話す。

 ロサンゼルスを本社とするBQE Softwareでは、請求書作成ソフトやプロジェクト管理ソフトを開発している。BQEは数年前からIntuitのパートナーであり、その主力製品である「BillQuick」はQuickBooksと連携して動作する。カザイ氏によると、最新版ではMicrosoftの会計ソフトにも連携するようになるという。

 BQEはこの15カ月間、Office Small Business Accountingの開発でMicrosoftに協力してきた。同社はその中で、Microsoftへのフィードバックとして連携の重要性を強調したという。

 「ユーザーはインポート/エクスポート機能だけでは満足できなくなった。彼らは見えない部分での連携を望んでいる。ユーザーが2つの製品を操作していると感じないくらいシームレスに連携が行われることが、当社にとって非常に需要なポイントだ」(カザイ氏)

 Microsoftのベイツ氏によると、Office Small Business Accountingは9月に米国でリリースされる予定だ。インターナショナル版もその後にリリースされる予定だが、スケジュールはまだ決まっていないという。

 Microsoftでは新ソフトウェアをスムーズに立ち上げるべく、職業訓練企業のK2 Enterprisesなど会計業界で有力なベンダーとの提携やスポンサー契約の獲得を進めている。またAutomatic Data Processingとも提携を結び、同社の2つの中小企業向け給与管理サービスをMicrosoftの会計ソフトウェアと連携する。

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