楽天のビジネス拡大を止めないためにIBM Software World 2005(1/3 ページ)

プロ野球参入で一気に知名度をあげた楽天グループは、成長を止めないためにITへの投資にも本腰を入れている。

» 2005年05月18日 17時01分 公開
[谷川耕一ITmedia]

 プロ野球参入で、一気に知名度をあげた楽天グループ。旅行、証券などさまざまなサービスを提供しているが、老舗のサービスは楽天市場。1000万人を超える会員を擁し、1万以上の店舗が出店する仮想商店街は、売っていないものはないのではというほどの品ぞろえだ。会員数も出店数も拡大し続けるなかで、システムを止めるわけにはいかない。システムの開発、管理の現場では、高いシステム要求に安価に答えるために、冗長化の仕組みを工夫している。

スピードを強調する楽天のEC事業カンパニー、開発本部の安武弘晃氏

複雑、大規模なシステムを統合しないメリット

 楽天市場のサイトのページビューは、プロ野球参入後一気に増えた。現状、1日あたり億単位のページビューがあり、グループ流通総額で1,000億円を超える規模の取引を行っている。これを支えているシステム環境は、多数のサーバ、UNIX系OS、DBで稼働しているとのこと。サーバの数は数千台にのぼり、それらは複数のデータセンターにあるという。

 「大規模システムなので、1つのプラットフォームに統一したほうが管理コストが下がることはわかっているが、日々拡大し、たくさんの企業やサービスの買収などもありシステムの種類は結果的に増えてしまった」そう説明するのは、楽天のEC事業カンパニー 開発本部の安武弘晃氏。

 「複数の環境にもメリットはある。1つのOSやソフトウェアに致命的な欠陥が発生しても、そのシステムだけを止めればいい。サービス全体を止める必要はないのです」楽天では、管理コストの増大よりもサービスの持続性のほうが重要なのだ。複雑なシステムの管理コストを上げないために、技術者のレベルを維持しなければならないのが現状の課題だという。システムの開発、運用には200名以上の技術者が携わっている。

スピード、スピード、スピード

 楽天のシステムは、止まらなければそれでいいわけではない。コンシューマユーザーを相手にしているために、レスポンス時間の短縮もシステムに課せられる重要な要件だ。これを低コストで実現しろというのだから、高いハードルだ。

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