「DB2をもっと宣伝して」――IBMに顧客が要求

「DB2は市場シェアが大きい割に認知度が低いのではないか、IBMはもっと積極的に宣伝すべきだ」とユーザーグループカンファレンスで顧客らがIBMに求めた。(IDG)

» 2005年05月27日 12時31分 公開
[IDG Japan]
IDG

 IBMがリレーショナルデータベース市場のリーダーだというのなら、どうしてその事実が世間に知られていないように見えるのか、一部の顧客は不思議に思っている。

 これは今週デンバーで開かれたInternational DB2 Users Group(IDUG)2005カンファレンスで、ユーザーが繰り返し伝えたメッセージだった。顧客らは、IBMのDB2の技術的な方向性にはおおむね満足しているが、一部顧客は、IBMはOracleやMicrosoftなどのライバルに対抗して、DB2を――Informixデータベースとともに――もっと積極的に推進できると感じていると語った。これは特に中小企業市場にあてはまると顧客らは指摘した。

 ユーザーらがIBMにマーケティング強化を求めたのとほぼ同時期に、Gartnerがリレーショナルデータベース市場の調査報告を発表している。この調査では昨年のIBMのシェアは34.1%と、Oracleの33.7%をわずかに上回る程度だった。Microsoftはシェア20%と水をあけられて3位につけた。売上高はIBMが26億6400万ドル、Oracle26億3600万ドルだった。

 IBMがもっと自身の成功を前面に押し出せば、DB2技術の売り込みはもっと簡単になるとユーザーらは主張した。「個人的には、IBMにはもっと積極的に宣伝してほしい」とz/OS Version 7でDB2を走らせている保険会社のプログラムアナリストは話した。このアナリストは、長期戦略の一環として、自分の会社ではMicrosoftプラットフォームへのスタック移行を考えていると述べた。

 この人物は、IBMは教育にフォーカスするべきと提案した。「IBMにとって、大学からの資質ある人材が欠けていることが最大の問題だ」

 「IBMは小規模企業に対するマーケティングをもっとうまくやれるだろうに」と話すのはScotDBのコンサルタントのフィリップ・ネルソン氏と、英保険会社の匿名希望のデータベース管理者だ。IBMがDB2管理ルーチンの自動化を推進していることで、今や中小企業は多額の管理費を投じなくてもDB2を導入できる。

 「この1〜2年、(意識のギャップの)存在を認識して、IBMがDB2コミュニティーへのマーケティングと教育的な意識向上によってそれに対処するのを目にしてきた」とIDUG会長でUnited Parcel ServiceのISシステムマネジャー、ロバート・オメルザ氏は語った。同氏は講演で、IBMはIDUGと同様に、新規および既存の地域のユーザーグループの両方をサポートすることで、DB2顧客に手をさしのべようとしてきたと述べた。

 iSeriesでDB2を走らせているが、今週のカンファレンスには参加しなかったPeopleSoft Worldユーザー2人も、同じことを主張している。

 「われわれは通常、ほかのプラットフォーム(LinuxとUNIX)を考えるときに、DB2のことは考えもしない」とCargillのグローバル金融ソリューション部門の北米市域運用マネジャー、ウィリアム・ギャビー氏。「IBMはこの分野のプレイヤーであることを認識してもらうために、多額のマーケティング費用をかけなくてはならないだろう」

 IBMの方は、DB2をプロモートするために提携を結び、リソースを投じていると主張する。同社の情報管理部門で競争技術・戦略ディレクターを務めるポール・リボット氏は、最近同社がSAPと、同社データベースをSAPのビジネスアプリケーション向けに最適化する提携を結んだことを引き合いに出した。同社はIDUGと協力し、DB2の無料版を大学に提供しているほか、2000人の営業担当者を駆り出して、Oracle顧客に代替選択肢としてIBMを検討するよう提案するキャンペーンを最近立ち上げた。

 DB2は技術的に安定した製品だと、コンサルティング会社RedMonkのアナリスト、ジェームズ・ガバーナー氏は語る。しかしITユーザーがDB2のことを考えるとき、実際――実際には幅広いニーズに対応する広範なアーキテクチャ、製品、機能のファミリーなのだが――よりもハイエンドなデータベースだととらえていると同氏は指摘する。

 「IBMが十分に大きな音でラッパを吹き鳴らして宣伝しているかどうかは本当は問題ではない。同社にとって問題なのは、吹かなくてはならないラッパがたくさんあるということだ」(同氏)

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