従来のEDIは、バッチで処理した結果をバッチでファイル転送していた。それだけではリアルに状況を伝えることができない。必要なのは、「その時々の状態を正確に伝える」ことだ。
先の物流関連業務に例を求めれば、個々の荷物が今どこにあるかを正確に知ることができれば在庫が正しく管理でき、その移動を正確に捉えることができればリードタイムを最適化できる。また、その瞬間の位置や温度を伝えることができればセキュリティや品質管理精度を高めることができる。変更やトラブルがあっても、それを逐次伝えることができれば、全体の整合性を確保することができる。
物流EDIという視点から見ると、バッチファイル転送で「出荷依頼」や「出荷報告」という「目的」を送るのではなく、その時々の「状態」を正確に伝えることが重要になる。
そして、受け取った現場は、用途に応じてその「状態」を加工し「目的」を全うすればよい。このように次世代のEDIはリアルに状況を確認できる機能が求められることになるだろう。
では、従来のEDIは不要となるのだろうか。いや、そんなことは決して起こらない。長年積み上げてきたアプリケーションを簡単に捨てるわけにはいかないからだ。
また、EDIとは相手先のある話で、こちらの意向で先方にシステムを変更願うことなどもってのほかなのだ。ということは、従来型EDIと次世代EDIは同居せざるを得なくなる。
ここで、冒頭で話した現在のEDIを思い出していただきたい。システムが自動連携するファイル転送型と手動操作を前提とするWeb型のEDIがあると述べた。そして、これに次世代のリアルタイムEDIが加わることになる。
この3つのEDIは、売買というひとつの業務の中で相手先や業務の都合上その方式が分かれているだけである。よって、これら3つのシステムは同時に稼動することになる。
また、本シリーズでは一貫して「EDIとEAIはシームレス」と言ってきた。企業間のデータは企業内も縦横無尽に流れる。だから、EDIとEAIの関連システムも当然同時に稼動することになる。
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