「情報の大海」から肝心な情報を見つけ出す手助けを――米Google

米Googleのデイビッド・ベルコビッチ氏は、Interop Tokyo 2005の特別講演において「あまりに情報が多すぎて、かえって肝心な情報が見つけにくくなっている」と指摘した。

» 2005年06月10日 01時21分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 CPU能力の向上、ハードディスク容量の拡大、そしてインターネットの普及……一連の技術革新によってわれわれは、かつては想像もできなかったほどの大量の情報を入手し、利用できるようになった。しかし皮肉なことに、情報があまりに氾濫しすぎることによって問題も生じている――。

 米Googleのエンタープライズ部門プロダクトマーケティングマネージャ、デイビッド・ベルコビッチ氏は、6月9日に行ったInterop Tokyo 2005の特別講演においてこのように語り、「情報過多」が引き起こす新たな問題を解決していく手助けをしたいと述べた。

 ベルコビッチ氏によると、一連の技術革新によって「何十倍もの情報が、何十万分の一の価格で入手できるようになった。これまでは図書館に足を運んで何時間もかけて探していた情報を、わずか数秒のうちに、Web上で容易に得ることができる」という。

ベルコビッチ氏 Googleのミッションは検索エンジンの提供ではなく、「世界中の情報を整理し、どこからでもアクセスして利用できるようにすることだ」と述べたベルコビッチ氏

 これだけ多くの情報が利用可能な状態になることで、意思決定を迅速に行えるようになり、結果として生産性の高い生活が可能になる、とベルコビッチ氏。同時に、コミュニケーションのあり方や企業のビジネスの形までもが変化してきているとした。

 結果として「かつては、情報は力であり、情報を独占することが差別化につながった。しかし今は、情報を共有することによってメリットが生まれる」(ベルコビッチ氏)。このパラダイムシフトにより、ますます多くのコンテンツが無償で公開されるようになっている。

場所を問わずに情報へのアクセスを

 だがこれは、副作用も生み出した。「あまりに情報が多すぎて、肝心な情報が見つからないという逆説的な状況になっている。ちょっとした情報ならばWeb上で検索できるのに、大事なメールが見つからない、といった状況が起きている」(同氏)。

 そこでGoogleでは、Webでうまくいっている仕組みを、デスクトップをはじめとする他の領域にも展開できないかと考えているという。その例が「Google Desktop Search」であり、「Google検索アプライアンス」だ。マシン内に保存されているメールやさまざまな文書、また企業の共有ネットワークに存在するコンテンツやデータベース、CRMといった情報を検索し、必要な情報を迅速に見つけられるようにすることで、企業の生産性向上を支援するという。

 「ユーザーが情報を探しているとき、そのありかは関係ない。Webであろうと共有ネットワーク上であろうと、あるいは自分のPC上であろうと、場所を気にすることなく見つけ出し、アクセスできるようにすることで大きな価値を提供できる」(ベルコビッチ氏)。

 なお、Interop Tokyo 2005に合わせて、ネットマークスは米Googleと販売代理店契約を締結。6月8日よりGoogle検索アプライアンスの販売を開始している。

Google検索アプライアンス Google検索アプライアンスによって企業内で質の高い検索を実現できる、とネットマークス

 Google検索アプライアンスは、220種類以上のファイル/データベースの中から情報を検索し、企業内の情報共有を支援する。ただし、機密情報/個人情報までもが検索、閲覧されてしまっては問題だ。ネットマークすではそうした事態を避けるため、Google検索アプライアンスが備えるユーザー権限に応じたアクセス制御機能を確実に実装できるよう、コンサルティングと組み合わせて提供していくという。

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