Interop会場でも注目を浴びるシンクライアント

Interop Tokyo 2005では、複数のベンダーが、開発中のものも含めシンクライアントシステムを紹介している。

» 2005年06月10日 06時13分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 情報漏えいを防ぐ上で、「これさえやっておけば大丈夫」というような万能の対策はない。しかし、リスクをかなりの程度抑える方法として注目されているのが、ユーザーが利用する端末にはじめから情報を持たせないようにするシンクライアントシステムだ。

 幕張で開催されているInterop Tokyo 2005では、いくつかのベンダーがシンクライアントシステムを紹介している。

 たとえば日立製作所では、シトリックスの「MetaFrame」を組み合わせてサーバベースコンピューティングを実現する「センター型」のシンクライアントシステムに加え、5月に発表した「ポイント・ブレード型」と呼ぶタイプの製品を紹介した。この仕組みでは、データセンター側にクライアントブレード「FLORA bd100」を集約し、ユーザーはそのクライアントブレードにリモートアクセスして操作を行い、処理結果を受け取る。対応アプリケーションに制約がないこと、社内の端末についても漏えい対策を強化できることなどが特徴だ。

 またNTT東日本は、ディスクレスの端末と組み合わせて提供する「SCN(ストレージ・セントリック・ネットワーク)」を紹介した。OSやアプリケーション、データなどはすべてネットワーク上のストレージに配置しておき、端末はネットワークブートで起動する。端末にははじめからディスクがないため、「万一端末ごと盗まれても情報漏えいの危険はない」(同社)。

NTT東日本のSCN ディスクレス端末を用いたNTT東日本のSCN。ノートPCタイプの端末の開発も進める予定

 特徴は、OSやアプリケーションなど、各端末に共通する部分を共通イメージ化することで、パッチの適用をはじめとする運用、管理作業の負荷を大幅に下げられること。パフォーマンスについても、起動時に若干の帯域は要するが、それほどストレスなく利用できるとしている。NTT東日本では2006年頭のリリースを目標に、既存システムからのデータ移行ツールも含めて開発を進めているという。

 一方NECでは、「モバイルIPソリューション どこでもオフィス」の参考展示を行った。オフィスにある自分の端末へのリモートアクセスを可能にしつつ、重要なデータの保存などは行えないようにするシステムで、「シンクライアントよりもモビリティを重視した」(NEC)仕組みだという。

NECのどこでもオフィス NECが紹介したシステムでは、リモートからオフィスの端末を起動させることも可能

 同社の説明によると、「セキュリティを最優先するならばシンクライアントが有効なのは確かだが、端末の入れ替えなどが必要になり、既存のノートPCを活用することはできない。今回展示したシステムでは、今手元にあるノートPCを活用しながら、社内からの情報の持ち出しやコピー&ペーストを防ぐ」という。

 基本的にはWindowsが備えるリモートデスクトップ機能をベースに、NECのローミングゲートウェイ製品「MBシリーズ」、それに7月リリース予定のエージェントソフトを組み合わせて実現されるという。

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