IBMはLinuxのために行ったことを、自社のPowerPCのためにも行う方針だ。多数のベンダーが参加できる大きな市場を形成し、その過程でIBMがもっと金儲けをすることである。
先週バルセロナで開催されたイベントで同社は、11社の新しいメンバーがPower.orgに加わったことを明らかにした。Power.orgは、Powerベースのプロセッサやシステム、ソフトウェア、ツールを開発する企業の連合体で、昨年12月に設立された。さらにIBMは、ソニーおよび東芝と共同で開発したPowerベースのCellプロセッサの基本仕様をリリースする予定だと述べた。
バルセロナで行われたPower.org会議の数日前には、Apple Computerが自社のMacintoshコンピュータからPowerPCチップをフェーズアウトし、Intelプロセッサに移行するという計画を発表したばかり(関連記事参照)。これは、PowerがスーパーコンピュータからPCや携帯デバイスに至るあらゆるシステム向けのチップであるというメッセージを推進するIBMにとって不運なタイミングだった。
英国の調査会社Ovumの調査ディレクター、ゲーリー・バレット氏は、「マーケティングという観点から見れば、『Power Everywhere』ロゴに少しケチがついた」と話す。
しかしIBMで欧州/中東/アフリカ地域の戦略ビジネス開発を担当するマイケル・テイセドル副社長によると、同社が昨年初めにPowerプロセッサの仕様およびデザインツールをリリースして以来、Powerへの支持が拡大しているという。
テイセドル氏は、プロセッサの販売総数から見ればPCはその小さな一部分を占めるに過ぎず、Appleの決定の影響は少ないとしている。IBMの目標は、セットトップボックス、ゲーム機、車載機器など同社が成長著しいと見る市場でPowerを普及させることだ。Powerベースのプロセッサは、ソニー、任天堂およびMicrosoftの次世代ゲーム機で採用された。
Powerの仕様を公開することにより、カスタムPowerプロセッサに加え、暗号化やグラフィック処理用の関連チップの開発を他社に促すのというのがIBMの狙いだ。テイセドル氏によると、製造サービスやソフトウェアのプロバイダーなども含まれるPower.orgグループは、製品を一から設計しなくても再利用できるようにするために、コンポーネントやツール間の互換性確保を支援するという。
「われわれがPowerでやりたいのは、Linuxでやったこととまったく同じだ。これは同じゲームだ」とテイセドル氏は話す。
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