SOAとは何か?『SOA―サービス指向アーキテクチャ』から転載(1/5 ページ)

この記事は翔泳社発刊の書籍『SOA―サービス指向アーキテクチャ』の一部を許可を得て転載しています。

» 2005年06月14日 16時55分 公開
[翔泳社]

 情報化社会という言葉が一般化した現在、情報システムを活用していない企業はおそらく皆無に等しいはずである。情報システムは企業の煩雑な業務を担い、業務の高速化・自動化に寄与している。

 しかし昨今、さまざまな局面において情報システムの非効率が問題化し始めている。すでに20年、30年と活用され続けているレガシーシステムからクライアント/サーバシステム、ERPやCRM等の業務パッケージシステム、そして最新のオープンシステムに至るまで、企業には多種多様な業務システムが混在しているが、そのほとんどは設計時に規定された業務を処理することに固定され、他の業務への応用や複数の業務システムの組み合わせによる更なる合理化などについては実現が困難なことが多い。

 いわゆる部分最適で設計されたシステムは、他システムと連動させたり、新しいビジネスロジックを追加したり、処理フローを変更するなどのニーズを実現するには、相当なコストと時間を要する。結局、新たなニーズや新しいビジネスに対応するためには、新規にシステムを開発することがほぼ当たり前となっている。

 昨今、急激に注目を浴びるようになったSOAは、これまでのシステム開発方法論ではなし得なかった、変化にすばやく対応できる能力、つまり適応性や拡張性を企業システムにもたらす、新たなシステム開発の考え方である。

 しかし、現時点では成功事例や検証データなどの情報が乏しく、SOAが本当に利用価値のあるものなのかどうか、また、既存のシステム技術とどのように異なり、どのようにして適応性や拡張性を企業システムにもたらすことができるのか容易には理解し難い。

 それら基本的な理解のために、第1章ではまず、原点となる「SOAとは何か」を明らかにしてみよう。

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