ビジネスパーソンに必要な論理力とは、むしろ対人関係に必要な論理力だ。言い換えれば、「論理的だ」と思ってもらえるコミュニケーション力のことである。「論理力」が「論理的コミュニケーション力だ」と主張する理由は2つある。
1つは、中味を聞いてもらう前提として、あなた自身の信頼性が重要だという点である。
同じような話でも、それを話す人によってその信憑性はずいぶん異なるものである。発言内容の信頼性を高めるためには、発言者自身の信頼性を高めなければならない。
発言者の信頼性とは、すなわち知性である。その昔、学生時代にはテストという便利なツールがあった。しかし、ビジネスパーソンがテストを受ける機会は少ない。資格取得や昇格に必要なテストがあるが、テスト結果とその人の知性の評価が一致しないことケースがよくある。
「山田さん、この前のテスト落ちたみたいだけど体調でも悪かったのかな」
「この前の昇格試験、田中君がトップ? えー、あり得ないよ。問題知ってたんじゃないの?」
われわれは他人の知性を何で判断しているかといえば、コミュニケーションの論理性である。われわれは、会話したり、書いた文章を読んだりすることによって、相手の知性を判断する。
「あの人は、話すと頭悪そうなんだけど、実は賢いんだよね」といった判断は、基本的にありえない。
また、先ほどの例のように、一度劣等性のラベルを貼られてしまうと、よほどのことがない限り挽回は難しい。まずは、人に話を聞いてもらう土台に立つためにも、相手に論理的に映らなければならないのだ。
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