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» 2005年06月27日 15時18分 公開

PeopleSoft統合でアプリケーション分野での再出発にかけるOracleInformation-Age Applications Day 2005

 日本オラクルが2005年6月24日に開催した「Information-Age Applications Day 2005」のオープニング・セッションおよびキーノートの詳報をお届けしよう。

[梅田正隆,ITmedia]

 オープニング・セッションでは、まず日本オラクルの新宅正明社長が登壇。昨年12月の米OracleによるPeopleSoft統合から半年が経過し、今回のイベント開催が、日本オラクルにとっても1つの節目になると位置づけた。

新宅社長。

 Oracleはこれまでプロセス統合、データ統合、データ活用の3つのシナリオを進めてきたが、新宅氏は「これらのシナリオが大きく花開くタイミングがきました」と強調した。Oracleは最近「The Information Company」というブランドを打ち出している。Oracleの社長であるチャールズ・フィリップス氏が言い出した言葉だ。これは、OracleがThe Information Companyを実現するシナリオをユーザーに提供していくことを意味する。

「グリッド、フュージョン・ミドルウェア、インフォメーション・エイジ・アプリケーションの3レイヤーで邁進していきます」と語ったフィリップス氏

 気になるPeopleSoftとの統合については、グローバルな統合がすでに完了。日本においては、組織間での交流が始まっており、日本オラクルと日本ピーブルソフトの両ブランドで展開していくことになる。企業統合について新宅氏は、まだしばらく時間がかかるものの、ビジネス上の体制整備は完了していることを報告した。

 PeopleSoftの統合でOracleは、エンタープライズ・アプリケーション市場において2万3000ユーザー、日本においても1000ユーザーを抱えるERPベンダーとなった。今後、この貴重な顧客ベースを活用してビジネスを進展させ、統合を進めていく方針であることを表明した。

チャールズ・フィリップスが語るOracleのアプリケーション戦略

 新宅氏のスピーチに続きチャールズ・フィリップス(Charles E. Phillips, Jr.)氏が登壇。同氏は「不可能と思われていたビジョンが、いままさに具現化されつつあります。新たな情報時代、The Information Ageです」と切り出した。PeopleSoftを買収した理由について、アプリケーション企業として第1位になることがOracleのミッションであるからだと述べ、「私たちがこう話しても驚かれるようなことはないでしょう」と話した。

 同氏は、オラクルのアプリケーション戦略について4つのポイントを示した。

 1つはクリティカルマスを本格化すること。ソフトウェアの世界では拡張性が重要であり、かつコストを低く抑える必要がある。アプリケーションの価値を高めつつ、コストを下げ、重要な技術を確保できるOracleでなければならないとした。

 2つめのポイントとしてエコ・システム、パートナー展開を挙げた。Information-Age Applicationを真に活用し、広めてくれるパートナーの存在が重要とした。日本におけるパートナー展開は非常に上手くいっているとの認識を示した。

 3つめがテクノロジーの活用。アプリケーションの未来を語るとき、どのような技術インフラでそれを起草するかが重要であり、SOAやWebサービスといったインフラの上で、アプリケーションをどう最適化していくかが重要となる。技術インフラにおいてもOracleには十分な優位性があると強調した。

 4つめが次世代のアプリケーションをリードすること。ゲームのあり方を変えること、5年後のアプリケーションのあるべき姿を提示していくことだとした。

 「市場において私たちは、いつくかのセグメントですでにリーダーシップを発揮しています。北米ではエンタープライズ・アプリケーションで第1位。HR(人事)についてはグローバルで第1位、SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)でも第1位です。また、特定の業界、たとえば銀行のトップ10のうち8社で、Oracleのアプリケーションが利用されています」(チャールズ・フィリップス氏)

 既存のインフラとその将来像について、共通のプロセスから業種に特化したプロセスへと変革し、独自開発のインフラは標準技術を使うようになり、プロセスのみにフォーカスしてプロセスのみを自動化する時代から、プロセスと情報を組み合わせていく将来が見えてくると指摘。分断化したプロセス、タスクの1つ1つを自動化する時代は終わり、エンドツーエンドでプロセスをオーケストレーションしていく時代が一般化していくとの見方を示した。

 また、ガートナーやフォレスターリサーチの評価資料を示しつつ、Oracleのミドルウェアがリーダーの位置にあること、その強固な基盤の上にアプリケーションを開発している優位性を強調した。

少なくとも2013年までのサポート継続を表明したジョン・ウーキー氏

 Oracleのアプリケーション開発部門を代表し、同部門のシニア・バイス・社長であるジョン・ウーキー(John Wookey)氏がスピーチした。ウーキー氏にとっては、初めての来日となった。

「PeopleSoft Enterprise 8.9を今年夏頃にリリースし、また、2006年初頭にはJDEdwards Enterprise One 8.12を発表する予定です」とロードマップを示したウーキー氏。

 同氏はまず、次世代のアプリケーションについて、3つの指針が不可欠だと述べた。1つが卓越したビジネスの洞察力。ビジネスを見極める力を提供することが、アプリケーションの基本になる。2つめが適応力あるプロセス。ビジネスの変化や拡大への適応性だ。3つめは、優れたオーナーシップ・エクスペアリエンス。利益を高めるために、コストを押さえ、リスクを下げながら、アプリケーションを全社的に展開できるようにすること。これが3つの指針だ。

 同氏はOracleが展開するProject Fusionには、いくつかの重要な要素があると話した。まずは進化。標準化された次世代のアーキテクチャの世界へ顧客とともに進化していくことを意味する。もう1つは、Oracleの組織や部門が強みとして持っていた領域を、次のアプリケーション・セットに展開すること。エンジニアリングとコンストラクチャーのJ.D.Edwards、人事管理のPeopleSoft、財務管理のOracleと、それぞれの強みを組み合わせることでより強力なソリューションを提供する。

 さらには、オープン性、パワフルといった要素を挙げた。同氏は、Project Fusionにおける重要な要素は、アプリケーションの考え方自体の抜本的な変化を予測した上で、現行のPeopleSoft Enterprise、J.D.Edwards Enterprise One、Oracle E-Business Suiteに導入していくと述べている。

 「Oracleは、Information-Age Applicationなどの新しいコンセプトをご紹介しますが、お客様一人一人に確実なパスをご提供していることをご理解ください。どのアプリケーションのお客様であろうと、次世代のアプリケーション・セットへの経路を確保されているということです」(ジョン・ウーキー氏)

情報活用を前提とした「情報指向のERP」をアピールした保科氏

 日本オラクルの取締役常務執行役員であり、アプリケーション事業推進本部本部長である保科実氏は、これからの情報システム、これからのERP導入のあり方について話した。

 保科氏は、企業戦略におけるITのポジショニング、あるいはIT戦略について、コスト削減や業務効率化に視点を置く軸と、経営に必要に情報をいかにITで集めるかに視点を置く軸の2つがあり、従来は国内において前者の軸に重点があったが、近年は後者に軸足が移っていると見る。ビジネスのビューから見たITトレンドは、ばらばらな既存のシステムをいかに統合して情報活用につなげるか。そこで注目されているのが、テクニカル・ビューから見たSOA(サービス指向アーキテクチャ)だ。同氏は、ビジネスの観点から情報指向、テクニカルの観点からSOA、この2つがキーワードになっていると指摘した。

 同氏は、ITRのユーザー調査結果をもとに、ばらばらに導入されたアプリケーションを、いかに全体のビジネス・フローと親和性を高めつつ統合するかが大きなニーズになっていることを示しつつ、「個々のビジネス・プロセス、個々のアプリケーションだけを見ていてはダメです」と話し、これからはミドルウェア・プラットフォームの重要性が高まることを強調した。

 システムに目を転じると、エンドユーザーとともに個別に業務システムは作り上げられてきた。その結果、必要なインタフェースはプロプライエティな技術で個別につくり込まれ、データは個別に持ち、マスターデータも統合されず、業務横断的にデータを取得することはできない状態だ。

 そのため、現実の業務との親和性に欠ける、ビジネスプロセスの変更にコストがかかる、正確な情報がとれない、分散したデータに一元的にアクセスできず情報の活用できない、といった課題に直面している。そこでベンダー各社は、プロセスをサービスでつなげることにより、自由度が高く、かつ現実の業務プロセスに合ったアプリケーションがつくれるSOAを提案し始めた。

 同氏は、いかにSOAでプロセス統合あるいはアプリケーション統合したとしても、データは統合されないままだと指摘する。そして、「情報活用の観点からは、データがそのままでは何も変わりません。マスターデータの統合が必要なのです」と述べ、同社のData Hub製品群を用いた、シングル・データ・モデルによる全社的な情報共有を実現することが、真のシステム統合になることを強調した。

「情報活用に向けたトータルソリューションを提案していきます」と話した保科氏。

 「プロセスを統合し、さらにデータを統合するプラットフォームがFusionミドルウェアであり、プロセスとデータが統合されることによって業務横断的な情報活用が実現されます」(保科氏)

 同氏は、データベースを持たないベンダーにデータ統合は語れないと続ける。データベースとミドルウェアが、単一のアーキテクチャで統合されていないこと。これが実際にら顧客システムにおいて大きな問題として浮上しているという。オープンシステムの最大の悩みは、データベースとアプリケーションサーバのアーキテクチャが別々にデザインされ、統合して管理できない状態にあり、リライアビリティを欠いている点にある。同氏は、この両方をトータルに提供できるのがOracleの最大の強みだと自信を見せた。

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