SAPPHIRE '05 Tokyoのために来日したSAPのカガーマン会長兼CEOは、ビジネスプロセスのイノベーションが成長のためには不可欠であり、それを支えるITには柔軟性とスピードが必須になるとした。
「まだITをコスト削減の手段としてしか考えていない日本企業が多い」── ビジネスアプリケーションの巨人、SAPを率いるカガーマン会長は、決して強い口調ではないが、日本企業に対してITを戦略的な「武器」として活用するよう促した。
7月7日、「SAPPHIRE '05 Tokyo」のために来日したSAPのヘニング・カガーマン会長兼CEOは、都内のホテルで記者会見に臨み、企業や組織を取り巻く環境が絶えず変化する中、ビジネスプロセスのイノベーションが成長のためには不可欠であり、それを支えるITには柔軟性とスピードが必須になるとした。
これまで事業部門ごとに連なっていた硬直化したバリューチェーンは、もはや解体を余儀なくされる。それは部門を超えた再編にとどまらず、一連のビジネスプロセスが複数の専門性の高い企業によって再構成されるようになるとみられている。
5月中旬、マサチューセッツ州ボストンで行われた「SAPPHIRE '05 Boston」でも、こうしたビジネスプロセスのイノベーションこそが次の5年を勝ち抜くために不可欠だと話している。
「ビジネスプロセスは緩やかにつながり、動的に追加や変更が可能で、それでいてうまくコラボレーションできる“Adaptive Business Networks”が出来上がる。ビジネスレベルの“プラグ&プレイ”だ。プレーヤーである企業はその規模に左右されることもない」(カガーマン氏)
SAPは2003年、SOA(サービス指向アーキテクチャー)をエンタープライズレベルに引き上げる「Enterprise Services Architecture」(ESA)を発表、2004年には「SAP NetWeaver」を市場に投入した。単にWebサービスを組み合わせることによって既存の資産を生かしながらシステムを再構築できるだけでなく、働く人たちが分散化しても正しい意思決定を行えるように「SAP Analytics」と呼ばれる分析機能も組み込まれている。Analyticsは6月中旬、国内でも発表されたばかりだ。
この日の記者会見では、SAPが世界23カ国4000人を超える企業幹部を対象に、今後5年間に生じるとみられるビジネスの変化を聞いた「Business 2010」の調査結果が紹介された。この調査対象には国内の上級管理職188人も含まれているという。
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