「ITを戦略的な武器にすべき」とSAPのカガーマン会長(2/2 ページ)

» 2005年07月07日 21時45分 公開
[浅井英二,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 それによると、60%以上(国内に限れば69%)の企業幹部は、新事業への多角化よりは、既存の製品やサービスへの注力を継続するだろうと回答し、また54%(国内は62%)は競争優位性を獲得するために、新製品や新しいサービスではなく、革新的なビジネスモデルの構築に集中しつつあるとしている。この結果は、カガーマン氏の言うAdaptive Business Networksという考え方やその出現の可能性が高いことを裏付けるものとなっている。

 ただし、アジア太平洋地域で国別に比較してみると、興味深い傾向が分かる。ITが単にコスト削減を促進するだけでなく、戦略的な「武器」となるだろうと回答した日本の企業幹部は58%にとどまり、中国の70%はもちろん、アジア太平洋地域の平均である62%も下回っている。

 また、事業および業績に対して単一かつ一貫性のある視点を持つようになるか、という質問には実に63%の日本の企業幹部が「2010年までに持つことはない」と答えている。中国の35%とは対照的だ。

 SAPアジアパシフィックのハンス・ピーター・クレイ社長兼CEOは、「中国はベストプラクティスを早く取り入れ、さらにNetWeaverで変化のための柔軟性を維持しながら差別化も図ろうとしている。日本にはカスタムアプリケーションの歴史があるが、中国はITツールでその差を埋めようとしている」と話した。SAPの事例だが、中国での多くのプロジェクトが4〜5カ月で本番稼動しており、顧客は900社に達しているという。

2002年から成長著しいSAPアジアパシフィックの社長を務めるクレイ氏

 「日本の顧客は経営基盤のシステムをERP化するだけで苦労している」と話すのはSAPジャパンの藤井清孝社長。ITを「武器」とするところまでは手が回らないのが実情だという。

 日本のビジネスの進め方が世界のそれと異なるところが多い特殊性からか、多くの日本企業にはERPパッケージがカバーする領域が狭いと映ると藤井氏はみる。「手作りか、パッケージか」という議論になりやすい背景にはこうした事情がある。

 「SAPが提唱するESAでは、日本企業の持つ固有のビジネスプロセスとSAPのベストプラクティスを融合できる。“手作りか、パッケージか”という議論はもはやなく、両者のいいとこ取り。日本企業は再び世界のトップ集団へと返り咲ける」(藤井氏)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ