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» 2005年05月20日 11時09分 公開

SAPPHIRE '05 Boston Report:「次のフロンティアはビジネスプロセスの迅速な組み替えにある」とSAPのアガシ氏

米国時間の5月19日、「SAPPHIRE '05 Boston」は最終日を迎え、午前のキーノートにアガシ氏が登場し、「500のEnterprise Serviceがプレビューされており、ESAはすぐに使える」と売り込んだ。

[浅井英二,ITmedia]

 ESA Today? SAPのシャイ・アガシ氏はUSA Today紙を真似た「ESA Today」のトップページをスクリーンに映し出し、ヘッドラインを読み上げながら「Enterprise Service Architecture」(ESA)の快進撃をアピールした。

 米国時間の5月19日、マサチューセッツ州ボストンで開催されている「SAPPHIRE '05 Boston」は最終日を迎え、午前のキーノートにSAPで製品&テクノロジーグループのプレジデントを務めるシャイ・アガシ氏が登場した。

 「ESAを実現するSAP NetWeaverの開発者は12万5000人、リファレンス顧客は1500社に達している。500のEnterprise Serviceがプレビューされており、ESAはすぐに使える」(アガシ氏)

3月からはNetWeaverを含む全ソフトと既存製品のソリューション開発を担うほか、ビジネスソリューション部門と製品/業界マーケティングも担当することになったアガシ氏

 SAPが2003年に発表したESAは、SOA(サービス指向アーキテクチャー)をエンタープライズレベルに引き上げたもの。サービスベースのビジネスソリューションを実現するためのブループリントであり、製品としてはmySAP Business SuiteのコンポジッションプラットフォームであるSAP NetWeaverが提供されている。「単なるインテグレーションにとどまらず、ビジネス環境の変化に対して柔軟にビジネスプロセスを組み替えることができる」とアガシ氏。

 今年初めには、NetWeaverの進化形としてビジネスプロセスの基盤、「Business Process Platform」が発表されたが、本質的には変わらない。下の2つの概念図を比較すれば分かるが、右下に位置するSAPのビジネスアプリケーションの部分がBusiness Process Platformになると、プロセスコンポーネントに変わっているだけだ。

左のNetWeaverが2006年には左のBusiness Process Platformへと進化する

 ショーケースとして、2004年版のmySAP ERPがNetWeaverを介してサービスとしてアクセスできるようになっているほか、4月には500以上のEnterprise Serviceがライブラリとして提供されるBusiness Process Platformのプレビュー版が限定公開されている。SAPでは、年内にはCRMをはじめ、すべてのmySAP Business SuiteのNetWeaver対応を済ませる一方、2006年にはNetWeaverがBusiness Process Platform(正式版)へと生まれ変わる。

 名称だけでは混乱しそうだが、アガシ氏は、「NetWeaverはテクノロジーであり、ESAはブループリント。Enterprise Serviceは、ビジネスの言葉で理解できるように定義されている」とシンプルに説明する。

 特に肝心なのは「ビジネスの言葉」だ。SOAやその基盤であるWebサービスはテクノロジーであり、複雑そのものだ。

 「私はいつでも携帯電話でイスラエルに住んでいる母と話をするが、どうやって通信できているのかは知らない」(アガシ氏)

 Enterprise Serviceは、SAPだけでなく、顧客やパートナーらが一緒に定義しているという。

変化への対応が成否を分ける

 SAPがビジネスプロセスを柔軟に組み替えられる機能を顧客らに提供しようとしている背景には、ビジネス環境の変化がますます加速していることがある。

 ガートナーによれば、製品のライフサイクルは2000年に入ってから週単位になりつつある。しかし、ITによってプロセスの実行そのものは分単位になったのにもかかわらず、ビジネスプロセスを変更するには依然として月単位の時間を要する。しかも、ギャップは広がるばかりだ。

 「次のフロンティアは“Time to Change”の短縮にある。例えば、Dellは製品そのもので差別化しているのではなく、ビジネスプロセスで差別化して成功している」とアガシ氏。

 「キャズム」の著書で知られるジェフリー・ムーア氏は、競合と差別化を図るべく生まれた革新的なやり方や技術のライフサイクルについて分かりやすく説明している。

 革新の芽生えといえる「考案」は適用範囲を広げながら「イノベーション」を起こすが、広く使われていく過程で収れんされながら「標準」となる。あとは、しだいに「コモディティー」となり、使命を終えるというのだ。空港のセルフチェックイン端末を考えると分かりやすい。ライバルたちを出し抜くべく、セルフチェックインのシステムを開発し、導入を競ったが、今となっては当たり前のサービスとなっている。

 ただ、現状のITはどうだろうか。「考案」「イノベーション」は他社との差別化を重視してカスタムアプリケーションを開発する企業が多い。一方、「標準化」と「コモディティー化」は生産性を重視してパッケージアプリケーションを活用することが多い。しかし、ムーア氏のライフサイクルと違うのは、両者は切り離されたままだということだ。

 「イノベーションがカスタムアプリケーションやxAppsだとすると、標準化はmySAPだ。mySAPのサービスを組み合わせてカスタムアプリケーションやxAppsが開発できれば、イノベーションと標準化を行き来する好循環が生まれる」(アガシ氏)

 イノベーションが標準化され、それが再びイノベーションの土台となる。今後は、絶え間のないビジネスプロセスのイノベーションこそが、企業の成長を支える。次なるフロンティアはそこにあるのかもしれない。

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