コペンハーゲンのSAPPHIREで話題をさらったのは、Microsoftとの共同開発計画だ。その狙い、そしてそれがSAPとMicrosoftの顧客にどんなメリットをもたらすのか。
コペンハーゲンで開催中のユーザーイベント、「European SAPPHIRE」で話題となったのは、4月26日に発表されたSAPとMicrosoftの共同開発計画だ。両社は、それぞれのエンタープライズシステムとデスクトップソフトウェアを連携した製品を共同で開発する。
SAPで先端技術を担当するゼネラルマネジャーのデニス・ムーア氏は、「Mendocino」のコードネームで呼ばれる共同開発プロジェクトに深く関わっている。同氏はIDG New Servicesによるインタビューに応じ、Mendocinoの狙い、そしてそれがSAPとMicrosoftの顧客にどんなメリットをもたらすのかについて語った。
―― プロジェクトの役割分担はどうなっていますか?
ムーア この新製品には、MicrosoftのコードとSAPのコードの両方が含まれます。オープンなインタフェースも含まれるため、ISV(独立ソフトウェアベンダー)、ユーザーおよびインテグレーターは、製品の機能を拡張することができます。
―― 製品の内容を教えてください。
ムーア この製品は、Outlook、Excel、WordといったOfficeクライアントに連携する一方で、mySAP Business Suiteにも連携するソフトウェアです。このソフトウェアでは、ほかのデータベース、サーバ、クライアントにも連携することができます。
―― Mendocinoの統合度は高いのでしょうか?
ムーア この製品は、SAPとOutlookのカレンダーなどをシンクロナイズするためのブリッジを提供するだけではありません。その情報交換をどのように行うかを決定するロジックも備えるのです。
例えば、SAPの特定のタスクに関する予定をOutlookに設定するとします。この製品は、SAPのどのソフトウェアをOffice内で呼び出すべきか判断し、OfficeをNetWeaverエンタープライズポータル上で動作するソフトウェアにリンクするのです。SAPの高度なビジネスソフトウェアの大部分は、このポータル上で動作します。
―― ユーザーがOfficeインタフェースを通じてSAPの情報にアクセスしたり、多くの機能を実行したりできるようになれば、SAPのカスタマーインタフェース、つまりユーザーのコンピュータ上に表示されるマスクが失われることになります。その点は気がかりではないですか?
ムーア SAPは多くのユーザーを抱えています。しかしその数は、Office製品を使っているユーザーの数よりも遙かに少ないのです。われわれの顧客の多くでは、ユーザーは電子メールでOutlookを使用しており、SAPのデータから作成されたレポートをそれと意識せずに受け取っています。
新製品では、「スマートペイン」上にSAPが表示されるようになります。このウインドウはSAPから重要な情報を受信するとポップアップ表示されます。また、そのほかの必要な個所にもSAPのロゴが表示されます。Officeは拡張可能なプラットフォームになりつつあり、SAPなどのISVがプロセスを連携するためのソフトウェアをその上に構築することができます。SAPは大手ISVとして最初にそれをやろうとしているのです。
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