「忙しい」の定量化で、終電仕事を解消ITILを深める! サービスサポート編(1/2 ページ)

サービス品質を妨げるイベントを迅速に回復するには、インシデント管理の考え方が欠かせない。終電まで対応していた仕事が19時に終わったという事例もある(攻めのシステム運用管理)。

» 2005年07月11日 00時22分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]

インシデント管理で迅速な回復を

 インシデント管理の目的は、サービスの品質を妨げるようなイベントが発生した際に、できる限り迅速にサービスを回復してビジネスへの影響を最小化することにある。日本語には、「処置」と「対策」という言葉があるが、「処置」はその時点でどのように対処したのかを意味し、「対策」は根本的な対応を意味している。その点で、インシデント管理は、前者の「処置」を管理するプロセスであるとも言い換えることができる。

 そしてこの判断基準は、SLA(Service Level Agreemet)に基づいて行われることになる。SLAとは、ITサービスの提供側とユーザーや顧客側がその品質を保証して、達成目標に対する合意のこと。これによって高いサービスレベルの維持と責任範囲の明確化することが可能になる。

 インシデントとは、サービスの品質を低下させたりする事象のすべてを指しているが、1 つ1つが、「インシデントを受け付けたのか? 」「作業中なのか? 」「何らかの理由で保留しているのか? 」「解決したのか? 」「未解決なのか? 」などといったステータスを持つことになる。このステータスによって、インシデントの状態が可視化され、対応者が効率的に作業できるようになるのである。また、各々のインシデントは、対応履歴を追記できるようにしておくことで、作業記録を取ることが可能になる。

図1 図1■インシデント管理のフロー

 また、エスカレーションという行為でもって、特定のインシデントの解決を他者に移管ことも可能だ。フロントの問い合わせ対応を行う一次対応者で解決できない場合は、技術専門家などで構成される二次対応者にインシデントの対応をエスカレーションすることで、より専門的な調査などを行い、迅速な解決に結びつけられる。

 既に多くのヘルプデスクでは、意識するしないにかかわらずインシデント管理を実践していると思われる。ただ、ヘルプデスクでのインシデント管理システムは、ヘルプデスク業務の効率化と作業記録を目的として導入していることが多いが、ITILのインシデント管理はサービスを迅速に解決することに重きを置いているのが大きな特徴となっている。ITILというのは、もともと技術指向ではなくサービス指向のフレームワークなので、ITILでいうインシデント管理はサービスの品質向上やプロセス重視の観点を持っているといえる。

インシデント管理を取り入れるには?

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