それに対して間接費とは、複数のユーザー部門が共有しているネットワークや複数顧客のためにアプリケーションを実行しているメインフレームなどを例にとると分かりやすい。これらの間接費は、ネットワークトラフィックやCPUの使用料に応じて配賦するといったように定量的な根拠を元に行い、公平性を保つべきである。コストの配賦に定量的な根拠を持つことで、ユーザー部門に対する対価の課金について納得性の高い説明を可能になる。
課金
課金は、提供したITサービスの対価を顧客にチャージするための一連のプロセスである。このプロセスの導入により、ITサービスの対価を公平に顧客から回収することが可能になる。特に社内IT部門と顧客との関係では、対価を顧客に請求をするという概念そのものの導入が、当事者間の行動に影響を及ぼすという効果が最も期待できる。
IT部門が、ユーザー部門に対して均等に課金(コストを案分)している場合は、IT部門は完全にコストセンターの位置付けになり、コストの適正化とサービスレベルの維持向上というのは同時に達成できない、相反する要素となりがちである。
しかし、ユーザーごとに使用量や提供するサービス内容で課金することは、非現実的で非合理な要求はユーザー部門自らのコスト高を招くことを意味し、その部門内でエンドユーザーの要求をコントロールするという効果をもたらす。また、IT部門に対しても彼らが提供しているサービスレベルについて、その対価およびコストが適正であるかを市場原理に基づいて判断し、効率化を図れるという効果が得られる。
ユーザー部門・IT部門の両者が課金という動機付けで最適化を継続することで、組織全体がビジネスニーズに対して筋のとおった適正なコストのITサービスを享受・提供することが可能になっていく。
これらの3つのプロセスは、下記のとおり2つの異なるサイクルによってマネジメントされる。
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特に、顧客から対価を得ることを前提としているサービスプロバイダでは、社内IT部門とユーザー部門との関係以上にこれらプロセスを意識しなければならない。なぜなら、より競争優位性の高いサービスを他社より安価に提供しなければ、必然的にサービスは顧客から選択されないものになり淘汰される。その上で、企業体として利潤を追求していく必要があるからである。従って、より正確に顧客に課金し、顧客/サービスごとにコストを正確に紐付ける必要がある。
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