ウォルマートを上回る緻密な店舗データ収集が夢

メリーチョコレートカムパニー社長の原邦生氏によると、日本IBMと共同で開発した店舗情報システム「MASCOT」は、ウォルマートを上回るデータ収集を目指したものだという。

» 2005年09月01日 10時59分 公開
[谷古宇浩司,ITmedia]

 「iSeriesイノベーション・ソリューションLIVE」(日本IBM主催)で講演したメリーチョコレートカムパニー社長の原邦生氏は、日本IBMと共同で開発した店舗情報システム「MASCOT」に触れ、企業経営における情報収集・活用力の重要性を強調した。

原氏 メリーチョコレートカムパニー社長の原邦生氏

 MASCOTはMary's Advanced Shop Communication Terminalの略。同社総売り上げの約6割を占める180店舗から即日データを収集し、処理する店舗情報システムである。

 十年前から稼動していた既存のPOSシステム「MAPS」は、店頭で入力したデータを本社に送信するだけだったが、MASCOTは双方向の通信が可能で、店頭から在庫情報などを確認することができる。クレームや問題点などの日報情報も店頭で入力できるため、本社の販売戦略に適用するまでの期間が短縮した。

 同システムの投資額は4億円。物流管理部門スタッフの75人から7人への減少など目に見える形での効率化だけではなく、新商品開発、総合企画の的確かつ迅速な対応など、目に見えない形での業務効率化が実現すると同社では期待している。

 同システムは、原氏がウォルマートを上回る緻(ち)密な店舗データ収集を夢見て企画を開始した。デパートの地下など大規模な商業施設内のテナントに展開する店舗にマッチするよう、メイン端末(PC)と簡易端末を組み合わせ、タッチパネルおよび手書き入力が可能な入力画面を用意した。

 また、狭い店舗スペースに専用回線を引く困難さを踏まえ、NTTドコモのFOMAを活用した無線環境を実現した。FOMA端末にはデジタルカメラの機能も搭載されているため、定性・定量データとともに店舗画像を組み合わせた分析も可能となった。

 「世界を見ても、これほど緻密な情報収集ができる店舗情報システムはないのではないか」と原氏は自信を見せる。原氏はまた、同社の主要取引先である流通業界に対し、企業努力が足りないとして、まずは情報武装を、と説く。日本IBMを通じて、MASCOTで培った店舗情報を商品開発に生かすノウハウを流通業界に広める意欲も見せた。

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