マサチューセッツ州の対MSの戦いに勝ち目はない(2/2 ページ)

» 2005年09月08日 22時21分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK
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 そういった意味では、Microsoftはフォーマットをオープンにすべきであり、できればサポート対象のフォーマットにOpenDocumentも含めるべきだとするクイン氏の考えには賛成だ。筆者は以前、Microsoft OfficeはPDFファイルを読み書きできるようにすべきだと提言した。クイン氏もPDFファイルは「オープン」だと認めている。

 クイン氏がOpenDocumentの採用を義務付けることで、マサチューセッツ州は二流のファイルフォーマットになる恐れがある規格で標準化することになりはしないかと筆者は懸念している。MicrosoftのフォーマットがXMLやメタデータなどに対応しようとしているのに対し、OpenDocumentはそれに追いつけないかもしれないのだ。

 デスクトップにWindows Vistaを搭載しているのに、アプリケーションやファイルフォーマットがメタデータをサポートしていないためにメタデータ検索が行えないとしたら、さぞかし情けないことだろう。MicrosoftがOpenDocumentを同社自身の第一級のフォーマットにしなければ、そのような事態も十分に起こり得る。

 クイン氏の本当の狙いは、マサチューセッツ州をLinuxやOpenOfficeなどのフリーソフトウェアの採用に向かわせることにある、という意見も耳にする。もしそうだとしたら、サポートするファイルタイプにOpenDocumentを加えるといったような簡単な逃げ道をMicrosoftに与えるのではなく、同氏ははっきりとそう言うべきだろう。

 実際、マサチューセッツ州がオフィススイートをMicrosoftからOpenOfficeに全面的に移行すべきだという主張のほうが、単に「オープン」なファイルフォーマットを義務付けるなどときれい事を言うよりもずっと分かりやすいと思う。

 しかし当然予想されるユーザーからの反発を考えれば(ほとんどのユーザーが実際にMicrosoft Officeを好んでいる)、クイン氏がなぜこのような戦いを挑んだのか理解に苦しむ。恐らく、新しいファイルフォーマットの採用を義務付ければ、Microsoftはそれをサポートするといった対応をしないだろうから、より大きな目標に近づくことができるとクイン氏は考えたのだろう。

 もしMicrosoftが対応しなければ、たぶんクイン氏は州政府のデスクトップ上のオフィススイートを変更するという方針を正当化するだろう。しかし筆者の予想では、怒った州政府機関とユーザーがこういった動きを阻止し、クイン氏の計画を同氏のキャリアもろとも葬ってしまうだろう。

 もちろん、Microsoftはファイルフォーマットをオープンにすべきである。そのファイルフォーマットはもはや、同社に大きな競争力をもたらすものではないからだ。しかし同社がオープン化に踏み切らなくとも、クイン氏が方針を撤回しないとすれば、同氏は愚か者だと言わざるを得ない。

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