中堅企業の経営者はITを恐れるなITを武器にするために(2/4 ページ)

» 2005年10月05日 06時16分 公開
[大野隆司,ITmedia]

業務がどう変わるかが大事

 情報システムの営業やSEの解説を聞いてもどうもピンとこないといった経験をする経営者は多いだろう。

 こういう経験が、「ITは難しい」「よく分からないから他社さんが導入しているものを(本当に必要かどうかいまひとつ自信はないが)ウチも導入しておくか」といった小さな悲劇へとつながってくる。

 ここで問題なのは、ITについて説明する営業やSEの話を経営者がそのまま理解しようと努力していることだ。営業やSEは、情報システムの性能やシステムの機能を経営者に理解してもらおうと解説する。経営者も情報システムの要不要の判断をするためには理解しなければならないと一生懸命になってしまう。だが、これが実は間違いだ。こんな努力は経営者には必要ない。

 経営者が理解しておくべきことは、「この情報システムを導入することによって、自社の業務がどのように変わるのか?」ということ。別の言い方をすれば「この情報システムを導入すれば業務がこのように変わるから、売り上げがいくら増え、原価がどれほど減り、棚卸資産がどれほど圧縮される」といったことだ。システムの性能や詳細機能などについては後で深掘りを指示すれば十分だ。

業務を変えるのにITが必要かを判断

 さらに正確に言えば、情報システムの要不要の判断は、「売り上げを増やすためには、業務を新しいかたちに変えないといけない。新しい業務を作り上げるために情報システムが本当に必要なのか否か」という順番で行うことが必要ということだ。

 ゆえに、新しい業務が新しい情報システムなしに構築されるならば、わざわざ情報システムに投資する必要はないわけだ。無論、その逆もあり得る。

 たとえば、「顧客との商談にPCを持ち込み、それをモバイルで会社の情報システムとつないでおき、顧客から依頼された値下げの承認をリアルタイムで上司から得る」という新しい業務が売り上げに大きく貢献するならば、それを支援する情報システムが必要となる。だが、顧客への回答は1、2時間後でも十分であったり、上司も営業で外出していたりで離席している可能性が高い企業の場合は、こういった機能は過剰という判断になる可能性もある。

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