薄れゆくプラットフォームの境界線(1/2 ページ)

クロスプラットフォーム開発の拡大に伴い、プログラマーは1つのプラットフォームに縛られないオープンソースのツールへ向かいつつある。Linuxとオープンソース・ソフトウェアはコーディングの多様化から利益を得る立場にあるだろうか。

» 2005年10月21日 17時05分 公開
[Jay-Lyman,IT Manager's Journal]

 クロスプラットフォーム開発の拡大に伴い、プログラマーは1つのプラットフォームに縛られないオープンソースのツールへ向かいつつある。Windows開発でさえ、オープンソースへ向かってゆっくりと動いている。Microsoftプラットフォーム向けのソフトウェアを開発するために、.Net開発者がMonoやPHPなどのツールに頼る場面が増えているのだ。

 Race to Linuxのようなプロジェクトやイベントは、クロスプラットフォーム開発の拡大と、Linuxが開発の手段と目的の両方において目覚しく台頭していることを象徴する。北米のソフトウェア開発に関する最新の調査の中で、米Evans Dataは、クロスプラットフォームLinux開発への関心が拡大していることを示した。この調査によれば、Visual Studio.Net開発者の5人に1人はLinuxアプリケーションを書いた経験を持つ。また、アプリケーションを主にLinux向けに開発していると答えた開発者は2000年にはわずか2.8%だったが、2005年春と秋の調査では主にLinuxに取り組んでいる北米の開発者の割合はそれぞれ8.3%と8.8%に増加した。

 「Linuxにはかなりの伸びが見られます。特に、市販の商用アプリケーションの開発の場である垂直市場で、それが顕著です」Evans Data COOのジョン・アンドリュー氏によると、ほとんどの開発者は2つから3つの開発手段やIDEを利用していて、多くはLinuxを開発経験を増やす機会と考えている。

 「他に行き先があるでしょうか? 市場でのLinuxの牽引力は増す一方なので、開発者がLinuxに寄せる関心も高まる一方です。また、Microsoftにつきもののセキュリティなどの問題がLinuxへと人々を向かわせる、という面もあります」

 クロスプラットフォーム開発の拡大は、Linux開発者には良いこと尽くしだが、.Net開発者の数は横ばいとなり、Unix開発者は数を減らすだろうと、アンドリュー氏は指摘した。

 米Interarbor Solutions主席アナリストDana Gardner氏は、ツールとオペレーティングシステム・プラットフォームが徐々に発展的に分離して、Monoのようなフレームワークに置き換わる動きがあると指摘する。「開発者の口からは『このツールを使うのはこのフレームワークに関連付けられているからで、プラットフォームについてはあまり気にしてません』という言葉が聴かれます」

 Code Projectの創立者クリス・マンダー氏は、Monoや、Grasshopperのようなクロスプラットフォーム・ツールが成熟するにつれて、クロスプラットフォーム開発がさらに伸びるだろうと予想する。ただし、C#などの.Net言語に切り替えて、開発プラットフォームの選択肢を手に入れる開発者が今後も増えるとも見ている。

 それでも、Race to Linuxなどの活動を通じて、Windows開発者にLinuxを引き合わせたり、.Net開発をLinux開発者に引き合わせることができると、マンダー氏は期待している。「報酬に見合う能力のある開発者なら、誰でも複数の言語を使って複数のプラットフォームで開発した経験を持ちます。昔からの宗教戦争は休戦にして、今は前に進み、プログラマーが利用できる驚異の最新テクノロジーを楽しむべきです」

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